腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアについて

腰痛の原因は、生活習慣や生別 、年齢職業などが複雑に関係していますが、多くの場合、腰を支える骨筋肉の故障が腰痛の原因となっています。急性期は安静にし、回復期に少しずつ身体を動かし腰痛を予防しましょう。

椎間板ヘルニア

■腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアとは?
椎間板(ついかんばん)とは、上下の椎体の間にある組織で弾力性があり衝撃をやわらげる役目をしています。中央部はゲル状の水分を含んだ髄核でできていて、そのまわりを繊維輪という組織が取り囲んでいます。
椎間板ヘルニアとは、繊維輪に裂け目が生じそこから髄核が外に飛び出し神経を圧迫している状態をいいます。
髄核や繊維輪は加齢により弾力が衰えていきます。
日常生活の中での不自然な姿勢などが椎間板に大きな圧力をかけ負担が増すとやがて繊維輪に小さな傷が生じます。
傷は年齢や時間とともに増えそれが連なりひび割れのようになり、髄核がそのひび割れに入り込んで押し上げ、繊維輪を破って外に飛び出しします。
繊維輪は腹側が厚く背側が薄いため、多くは背側に飛び出し神経を圧迫します。腹側にも飛び出すことはありますが、腹側にいは神経がないので痛みがあらわれません。
髄核が繊維輪を破って外に飛び出すと、神経根や馬尾神経が圧迫され痛みが生じます。
症状としては、急激な痛みが起こり、しばらくしてから腰からお尻、大腿部の裏側にかけて痛みやしびれ生じます。
また発生した部位によっては知覚マヒ、運動マヒが起こり足の力が弱くなります。
ヘルニアは第4腰椎・第5腰椎・仙骨の間の椎間板に起きやすく、第5腰椎・仙骨の間に起こると、神経根が座骨神経につながっているため大腿骨後面、ひざの裏側から外側、下腿外側、足の外側にかけて痛が起こし座骨神経痛を引き起こします。
第3腰椎・第4腰椎の椎間板に起きると大腿の前面に痛みが起こります。

MRIとは?
MRI(磁気共鳴断層撮影)は、骨や軟骨、神経、軟部組織形態など、ヘルニアの位置や圧迫程度を鮮明な画像として見るために使用します。

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■椎間板ヘルニアの治療方法
●保存療法(椎間板ヘルニア)

・痛みの強い急性期は、その人にとって一番楽な姿勢で安静にしていることが最も大切です。
・エビのように丸く横向きに寝る姿勢がよいようです。
・仰向けに寝るときはひざの下に布団や座布団などをいれひざを曲げると腰への負担が軽くなります。
・どうしても起きて行動する場合はコルセットなどを使い腰部をサポートすると腰への負担が減ります。
・痛みがひかないときは、消炎剤や鎮痛剤の薬物療法も行います。
・それでも痛みがひかないときは神経根ブロックや硬膜外ブロックをおこないます。
神経根ブロックはX線で透視しながら炎症を起こしている神経根のみに注射をおこないます。
硬膜外ブロックは脊髄の外側にある硬膜の外側にある硬膜外膣に局所麻酔とステロイドホルモンをまぜた薬剤を注射します。

●手術療法(椎間板ヘルニア)
保存療法を行ってもいっこうに改善がみられない、日常生活に支障をきたしている、運動マヒや知覚マヒが治らなくひどい場合は手術を行います。

●ラブ法によるヘルニア手術
椎間板ヘルニアの手術で一般的に行われている方法です。 背中側から神経を包む椎弓という椎骨の一部を切除し露出させ、硬膜と神経根を確かめながら横によけヘルニアを摘出する方法です。 手術はだいたい一時間程で、歩行できるようになるまで一週間程かかります。

●経皮的随核摘出手術
切開しないで随核を吸引する方法です。
直径5mmの細い管を背中の少しわきから皮膚に直接刺して、椎間板の中の随核を吸引します。
これにより飛び出していたヘルニアがもとに戻り神経根への圧迫がなくなります。
体への負担が少なく、1週間から13日ほどで退院できます。
ただしこの方法は70%の治癒率で、大きく飛び出したヘルニアには効果がありません。
また40代以降の人では随核の弾力性が低下しているため行うことはできません。