腰痛の原因が特定できるものは全体の15%ほどで残りの85%は原因が特定できていません。
年を重ねるに従って腰痛が起こり出し60歳以上になって腰痛を自覚するようになった場合は下半身の筋肉の衰えが腰痛の原因の可能性があります。
腰痛改善脳トレーニングで上半身と下半身のバランスを改善して腰痛改善。
■腰痛チェック
・柱やタンスなどに足をぶつけるようになった
・若いころに比べて靴や靴下を履くのが遅くなった
・以前より人にぶつかるなどして人混みが苦手になった
一つでも当てはまった場合は下半身の筋肉の衰えが腰痛の原因の可能性があります。
腰痛がない人でも将来発症する可能性があります。
■腰痛の原因(原因が特定できるもの)
・腰椎椎間板ヘルニア
・脊柱管狭窄症
■加齢による下半身の筋肉の衰えが腰痛の原因
誰でも加齢で全身の筋肉が衰え始めます。
中でも下半身の筋肉は上半身の筋肉に比べて大きい分衰えるスピードが早いといわれています。
そこに腰痛の原因が隠れていると考えられています。
私たちの筋肉の中には身体のバランスを保つセンサーが無数にあります。
そのセンサーが筋肉を正常に動かしてくれることで真っすぐ立てたり、転ばずに歩くことができます。
しかし加齢により下半身の筋肉が衰えると、筋肉の中のセンサーも衰え始めてしまいます。
するとまだ衰えていない上半身の筋肉がバランスを保とうとして必要以上に働いてしまいます。
このとき働きが弱くなった下半身と、がんばって働く上半身に挟まれ一番負担がかかるのが腰になります。
この腰への負荷が腰痛を発生させています。
■下半身の筋肉の衰えが腰痛の原因の特徴
若い頃は腰痛がなかった人が年を重ねるに従って腰痛になった。
なかでも60歳以上になって腰痛を自覚するようになった。
腰痛の原因が特定できず、高齢になって腰痛を自覚し始めた場合は下半身の筋肉の衰えが腰痛の原因となっている可能性があります。
上半身と下半身のバランスが崩れると支点となる腰を痛めてしまい腰痛が発症してしまいます。
筋肉と共に衰えるのが下半身のセンサーです。
■足踏みで下半身の衰えチェック
基点となる場所に立ち、その場で足踏みを100回行います。
周りが見えないようにアイマスクを着用し、太ももはなるべく高く上げるようにします。
1m以上ずれる場合は下半身の筋肉の衰えが腰痛の原因の可能性があります。
この足踏みチェックにより下半身のセンサーの働きをチェックします。
人は60歳ぐらいを境に全身の筋肉が衰え始めます。
一番人間の身体の中で筋肉の多い下半身の筋肉から衰え始めます。
筋肉が衰えることによって筋肉の中に含まれる身体のバランスを保つセンサーも衰え始めます。
センサーが衰えれば衰えるほど身体のバランスが崩れます。
下半身のセンサーが衰えてくると自分で思った動きが正確にできなくなり、少しズレが生じます。
そのため柱やタンスに足をぶつけてしまったり、人混みで人とぶつかることが起きるようになります。
■下半身のセンサーチェック
イスに座った状態で右足を前に上げます。
目を閉じてから左足を右足と同じ角度に上げます。
このとき左右の足をぴったり同じ角度に上げられれば下半身のセンサーは正常です。
もし少しでもズレる場合はセンサーが衰えている可能性があります。
■脳をトレーニングして腰痛を改善する
筋肉の中のセンサーが衰えた場合センサーを鍛える必要があります。
しかし高齢者の場合は容易ではありません。
そのため筋肉の中にあるセンサーが衰えてしまった場合は、センサーから送られる情報を受信する脳のトレーニングをして補うことが効果的です。
脳トレーニングによって腰痛改善の効果が期待できます。
私たちがしっかり歩けるのは頭で思った動きを下半身のセンサーがとらえて足を正しい位置に運んでくれるからです。
しかし下半身のセンサーが衰えると頭で思ったよう正確に足を動かせなくなり、正しい位置から足が少しズレてしまいます。
そのためスムーズに動けない下半身と動ける上半身に挟まれた腰に負荷がかかるため痛みが起きてしまいます。
■腰痛改善脳トレーニング
タオルなどを対で2つ用意します。
床に一つ目のタオルを置きます。
その縁に足のかかとを合わせて立ちます。
一歩踏み出します。
踏み出したつま先に合わせてもう一つのタオルを置きます。
タオルの間で一歩踏み出します。
前のタオルの縁にをつま先がぴったり合うように一歩踏み出します。
踏み出した足がタオルを踏んでしまったりタオルに届かないのはダメです。
脳に正しい動きを覚えさせます。
右から左へ1回、左から右へ1回、これを10回繰り返して1セット。
1日5セットを目標に行います。
脳が正しい動きを覚えて上半身と下半身のバランスが改善し、腰への負荷が減って腰痛改善が期待できます。
■腰痛治療の名医(2019年6月時点)
国立長寿医療研究センター
整形外科部長
酒井 義人(さかい よしひと)先生
高齢者の腰痛治療から原因究明など臨床・研究の両面で活躍する腰痛のスペシャリストです。
20年以上にわたり約1万人の腰痛患者の原因究明や治療にあたる一方、腰痛改善のための運動療法やリハビリ法の研究開発にも尽力。
これらをまとめた論文が腰痛治療の発展に大きな影響を与えたとして日本腰痛学会最優秀論文賞を3度受賞するなど、日本の腰痛治療を支える名医です。