便秘とは排便回数の目安は週3回未満、便を十分量かつ快適に排出できない状態をいいます。
排便回数が少ない、かつ・または排便が困難で困っている場合に治療します。
何らかの原因で便が長く留まっていると水分が吸収されて便が硬くなり便秘になってしまいます。
■便秘による影響
・便が硬くて出ない
・いきんでも便が出ない
・便が溜まっておなかが痛くなる
・便秘が続くことによるうつや不安
便秘は生活の質を下げ、便秘の薬を買いあさったり、自己流の治療をしようとしてうまくいかない場合が多くあります。
■排便の仕組み
正常な場合、口から取った食べ物は胃で消化され小腸に送られます。
さらに小腸で消化されると共に栄養素が吸収されて残りカスが大腸に送られます。
大腸に入ったばかりの便のもとは水分を多く含みドロドロとしています。
便のもとは腸の壁がゆっくりと波打つように収縮するぜん動運動によって運ばれていきます。
大腸を通過する間に水分が吸収されて排便時の硬さになっていきます。
大腸内に一定量の便ができると直腸へ送られます。
すると便意を感じて直腸や肛門の筋肉をゆるめて便を排泄します。
■排便困難
大腸が便を運ぶぜん動運動は正常で、便が直腸までは来ているがそこからは出せない。
強くいきむ、残便感、肛門で便が詰まる、頻回便などの症状を排便困難症状といいます。
■便秘の原因
・老化による筋肉の衰え
・排便を感じにくい
・排便を抑制する
・過度のストレス
■便秘が多い人
・女性
・高齢者
・食事量が少ない
・ダイエットしている人
・忙しくて食事が摂りにくい人
50歳以下は女性が多く、その後加齢と共に男女とも増加していきます。
女性は女性ホルモンの影響でぜん動運動が緩やかになることが原因と考えられています。
高齢になると食事量や運動量が減り、水分を摂る量も減り便秘になりやすくなります。
排便に必要な直腸や肛門の動きや便意を感じる感度も鈍くなり便秘になりやすくなります。
介護により体を動かさなくなり便秘になる人もいます。
■便秘を起こしやすい病気
・大腸がん
・パーキンソン病
・レビー小体型認知症
・糖尿病
・慢性腎臓病
・甲状腺機能低下症
・脳血管障害
・精神疾患
■便秘を引き起こしやすい薬
・モルヒネなどの医療用麻薬
・精神疾患の治療薬
副作用で便秘を起こすことがあります。
■便秘の主な治療薬
・アントラキノン系の刺激性下剤
・市販薬
●アントラキノン系の刺激性下剤
センナ、ダイオウ、アロエなどに含まれる成分。
アントラキノン系の刺激性下剤は、大腸の粘膜を刺激してぜん動運動を強制的に起こし排便を促します。
ただしこの薬を日常的に長期間使用しているとぜん動運動の働きが弱くなってしまいます。
その結果、薬の量を増やさないと便意が現われなかったり、便意しのものがなくなることもあります。
また腸の粘膜を障害して大腸の粘膜が黒くなる大腸(偽)メラノーシスを引き起こす場合もあります。
週1〜2回の服用ではならないし、薬を止めれば元の色に戻ります。
●市販薬
センノシド、センナ
毎日使用せず、タイムリーに使うと効果的です。
依存性があるので長期間の使用には注意が必要です。
■便秘の予防ポイント
便秘にならないためには自分の便をチェックする習慣をつけることが大切になります。
便秘と大きく関係するのが便の形と硬さです。
理想的な便は、熟したバナナのような形とやわらかさになります。
人間の直腸は横から見ると「く」の字型になって曲がっています。
りきむと直腸が真っ直ぐになって出やすくなります。
便が硬くなると、りきんでも便が一部残ってしまい強い残便感が残ったりします。
■便秘で病院を受診した方が良い場合
便秘で悩む人の中には毎日排便しなくてはいけないと思う人もいますが、痛みや残便感などがなければ週に3回程度であれば問題ありません。
市販の薬を使用しても効かず困っている場合は、内科、消化器外科、消化器内科などを受診しましょう。
■排便時の理想の姿勢
排便時の理想の姿勢は、ロダンの考える人のポーズだといわれています。