腰痛のタイプ、原因が特定できる腰痛、原因が特定しにくい腰痛、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア

腰痛は大きく原因が特定できる腰痛と原因が特定しにくい腰痛の2つのタイプに分けることができます。
原因が特定できる腰痛は約15%、残りの約85%は原因が特定しにくい腰痛となっています。
原因が特定しにくい腰痛は命に関わったり痛みが悪化したりすることはほとんどありません。
原因が特定できる腰痛には他の病気が隠れていたり、放置して痛みが悪化して歩行に支障が出る場合もあります。

■背骨の構造
背骨の腰の部分にある腰椎(ようつい)が姿勢や動作を支えています。
腰椎は5つの椎骨(ついこつ)から成っていて、椎骨と椎骨の間にはクッションの役割をしている椎間板があります。
背骨を上から見ると脊柱管(せきちゅうかん)という細い空間があり、その中を脳から下半身へと続く神経の束(たば)が通っています。

■腰痛の原因
・腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
・椎間板ヘルニア
・重い脊椎の病気
・内臓の病気

神経の圧迫は腰痛の大きな原因となっています。

●腰部脊柱管狭窄症が腰痛の原因
椎骨が変形して脊柱管が狭くなり神経が圧迫されると腰痛や下半身のしびれなどが起こるのが腰部脊柱管狭窄症です。
腰部脊柱管狭窄症は放置すると神経の症状が非常に悪くなり歩行に支障が出ます。

●椎間板ヘルニアが腰痛の原因
椎間板にヒビが入り中身が飛び出し神経を圧迫するのが椎間板ヘルニアです。

●重い脊椎の病気が腰痛の原因
重い脊椎の病気には、がんの骨への転移、化膿性脊椎炎(かのうせいせきついえん)、骨折などがあります。
重い脊椎の病気による腰痛は特に注意が必要で、がんの骨への転移は死に至ることもあります。
化膿性脊椎炎や骨折は放置すると神経の症状が非常に悪くなり、歩きにくくなったり、腰痛が強くなって生活の動作が非常に障害されてしまいます。

●内臓の病気が腰痛の原因
内臓の病気には慢性の膵炎、腎盂腎炎(じんうじんえん)、尿路結石、慢性の十二指腸潰瘍、子宮内膜症などがあります。
内臓が悪いと近くの神経が刺激され、あたかも腰の辺りが痛いと感じてしまいます。

■原因が特定しにくい腰痛
原因が特定しにくい腰痛は背骨にある椎骨と椎骨を結ぶ椎間板・椎間関節・筋肉などが痛みに関係すると考えられています。
原因を調べるには、椎間関節に麻酔をかけて神経を麻痺させるといった大変な検査が必要になってきます。
一般に腰痛症や坐骨神経痛と診断されるのが原因が特定しにくい腰痛で、命に関わったり痛みが悪化するという心配がほとんどありません。

■腰痛の危険度チェック
・じっとしていても痛む
・背中が曲がってきた
・お尻や脚が痛んだりしびれる
・脚のしびれにより長く歩けない
・体を動かしたときのみ腰だけが痛む

●じっとしていても痛む
じっとしていても痛む場合は危険度が大きいです。
重い脊椎の病気や内臓の病気の可能性があります。

●背中が曲がってきた
背中が曲がってきた場合は危険です。
骨粗しょう症などによって椎骨がつぶれる圧迫骨折が起きている可能性があります。
骨粗しょう症は閉経後の女性に多く起こります。

●お尻や脚が痛んだりしびれる、脚のしびれにより長く歩けない
お尻や脚が痛んだりしびれる、脚のしびれにより長く歩けない場合は要注意です。
腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアの可能性があります。

●体を動かしたときのみ腰だけが痛む
体を動かしたときのみ腰だけが痛む場合はあまり危険はありません。
椎間板・椎間関節・筋肉などが原因である可能性があります。
腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアの可能性は低いです。

■自分の症状を医師にきちんと伝えることが大切
病院を受診する際は、問診で自分の症状を医師にきちんと伝えることが重要なポイントになってきます。

●いつから
いつから痛むのか、日ごとに痛みが強くなっているのか、同じ痛みが続いているのか

●どこが
腰のどの辺りが痛むのか、腰だけでなく背骨やお尻や脚も痛むのか

●どんなふうに
激しい痛みが続くのか、弱い痛みが続くのか、痛みの強さはどの程度なのか

●どんなときに
腰を曲げると痛い、歩くと痛い、安静にしていても痛い、など痛みを誘発する動作を伝えましょう

●その他の症状
脚やお尻のしびれやまひ、発熱、排尿障害、腰痛以外の症状