骨盤底筋を鍛えて尿トラブル改善、尿漏れ、頻尿、過活動膀胱、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁

■頻尿
朝起きてから寝る前までの間に排尿回数が8回以上、7回以下でも困っている場合を頻尿になります。
■尿漏れ
自分の意思とは関係なく尿が漏れる状態を尿漏れといいます。

■過活動膀胱(かかつどうぼうこう)による頻尿
過活動膀胱(かかつどうぼうこう)とはトイレがちかくなってしまう状態をいいます。
正常な場合、尿が膀胱に溜まりいっぱいになると膀胱から脳に信号が送られます。
すると脳から尿意の指令が出され、膀胱の筋肉が収縮して尿道の筋肉がゆるみ尿が排泄されます。
しかし前立腺が肥大化すると膀胱や尿道が圧迫され尿が溜まっていなくても脳が尿が溜まったと勘違いし頻尿が起こります。
また前立腺の肥大によって尿道が圧迫されると尿が出づらくなるため、膀胱は普段以上の力で尿を出そうとより活動的になります。
この状態が前立腺肥大による過活動膀胱(かかつどうぼうこう)になります。
脳梗塞、脳出血、頸椎症などで中枢神経の異常があると過活動膀胱が起きやすくなります。

■前立腺が肥大化する原因
加齢により男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが崩れると前立腺が肥大すると考えられています。
また最近では生活習慣病とも関係があると考えられています。
前立腺の肥大化は男性であれば50歳くらいから起こってきます。
50代で30%くらいの人が、60代で60%ぐらいの人が、70歳以上になると80%ぐらいの人が大なり小なり前立腺の肥大化が起こっていると考えられています。

■薬物療法による過活動膀胱の治療
薬で尿の出を回復させ膀胱の過活動を抑えることで尿の回数を減らします。

●α1遮断薬
前立腺の筋肉をゆるめて尿道を広げる作用があります。

●PDE-5阻害薬
前立腺の筋肉をゆるめて尿道を広げる作用があります。

●5α還元酵素阻害薬
前立腺そのものを小さくします。

●β3作動薬
膀胱の筋肉をゆるめて膀胱そのものを広げる作用があります。

●抗コリン薬
膀胱の収縮を抑えます。
唾液の分泌を抑えるので口が渇き、腸の動きを抑えるので便秘になりやすいなどの副作用が起こりやすくなります。

■手術療法を検討するとき
・全く尿が出ない尿閉を繰り返す
・尿路感染を繰り返す
・血尿を繰り返す
・膀胱結石を合併している
・尿閉によって起きた腎不全を合併している
・薬による治療で改善が見られない

■手術療法による過活動膀胱の治療
・経尿道的前立腺切除術(TURP)
・経尿道的前立腺核出切除術(TUEB)
・光選択的前立腺レーザー蒸散術(PVP)

患者が困ったときが治療のタイミングになります。

●経尿道的前立腺切除術(TURP)
内視鏡を尿道から入れて電気メスで肥大した前立腺をくり抜きます。

●経尿道的前立腺核出切除術(TUEB)
一度前立腺をくり抜いて膀胱の中に落とし、後で超音波で細かく砕いて吸引します。

●光選択的前立腺レーザー蒸散術(PVP)
レーザーで前立腺を蒸散させてしまいます。

■過活動膀胱の生活上の注意点
・水分を摂り過ぎない
・カフェインやアルコールを控える
・便秘を防ぐ
・膀胱訓練

膀胱訓練は尿意を少し我慢し、尿を溜められる量を増やす方法です。
我慢するのを5分程度から始め、少しずつ伸ばしていきます。

■切迫性尿失禁
急に尿意が起こり我慢できずに漏らしてしまう状態をいいます。

■腹圧性尿失禁
腹圧性尿失禁とは、お腹に強く力が入ることで起きる尿漏れをいいます。
骨盤の下側には骨盤底筋があり、膀胱などの内臓を支えて尿道を締める役割をしています。
しかし骨盤底筋がゆるむと尿道を締める力が弱まると共に尿道が傾きます。
こうした状態で腹圧がかかると、弱い腹圧でも尿漏れが起きてしまいます。

骨盤底筋がゆるむ原因としては、出産、加齢、肥満、閉経(女性ホルモンの低下)などが考えられます。

●TVT手術による腹圧性尿失禁の治療法
TVTテープを体内に入れて腹圧によって傾いてしまう尿道をしっかり支えます。

■排尿後尿滴下
男性の骨盤底筋がゆるむと起きます。

■骨盤底筋を鍛える体操
仰向けに寝てヒザを立てます。

お腹を動かさないで骨盤底筋だけをグーとお腹の中に引き上げて下ろすを5回繰り返します。

肛門や尿道を締めて5秒間止め、ゆるめます。
骨盤底筋に力を入れるときは息を吐きながら行います。
肛門がお腹の中に吸い込まれるようなイメージで行います。

骨盤底筋に力を入れるときに上半身を起こせば、骨盤底筋と腹筋も鍛えることができます。
また骨盤底筋に力を入れるときに腰を浮かせると背筋が鍛えられます。

この体操は、両手両足を床につけた姿勢、イスに座った姿勢、テーブルに手をついた姿勢などいつでもどんな姿勢でも行えます。