コレステロールや中性脂肪が増えるて脂質異常症の状態になると動脈硬化が進行して狭心症・心筋梗塞・脳梗塞などの病気につながるリスクが高くなってしまいます。
LDL・悪玉コレステロールが増えると動脈硬化が起こりやすくなります。
中性脂肪が増え過ぎると動脈硬化をより悪化させてしまいます。
HDL・善玉コレステロールは血管壁に溜まったコレステロールを引き抜いて回収して動脈硬化を防いでくれる働きがあります。
■脂質異常症について
脂質異常症とは、コレステロールや中性脂肪の異常のことをいいます。
30歳以上で血中コレステロール値が高いといわれる人は3人に1人いるといわれています。
脂質異常症は動脈硬化が進行して狭心症・心筋梗塞・脳梗塞などの病気につながる危険が高くなるといわれています。
脂質異常症自体には自覚症状がほとんどありませんが、放置すると動脈硬化が進行してしまいます。
動脈硬化とは血管壁の内側がこぶのように膨らんで、血管内が狭くなったり詰まりやすくなってしまう状態をいいます。
こぶのように膨らんだものをプラークといい、コレステロールが溜まって出来ます。
■家族性高コレステロール血症について
家族性高コレステロール血症とは、遺伝子が原因でコレステロールの値が特別に高くなる病気です。
■食後高脂血症について
食後高脂血症とは、食事の後に思いがけず中性脂肪が増えることをいいます。
■脂質異常症による心臓への影響
動脈硬化は全身の血管で起こります。
脂質異常症が特に大きく影響するのは心臓を取り巻いて栄養と酸素を送っている冠動脈です。
冠動脈がプラークによって狭くなるのが狭心症です。
血流が悪化して動いたときに胸の痛みや息苦しさを感じたりします。
プラークが破裂すると血液の塊の血栓が出来て冠動脈が詰まってしまい心筋梗塞を引き起こしたりします。
■コレステロールについて
コレステロールは体にとって重要な物質でもあります。
コレステロールは体内で使われる脂質で、細胞膜の材料になったり、ホルモンの材料になったり、消化液の胆汁酸の材料になったりします。
私達はコレステロールを含む食材を食べることでコレステロールを調達していますが、肝臓でも新たにコレステロールが作られて全身の細胞に運ばれています。
■LDL・悪玉コレステロールについて
コレステロールは脂なので水に溶けにくいので、水になじみやすいタンパクなどの物質に包まれて血液中に溶けます。
これをLDLといいます。
つまりコレステロールはLDLという形になって全身の細胞へと運ばれます。
しかしLDLが様々な原因で増え過ぎると血管の壁に溜まりやすいとい性質をもっています。
このためにLDLが増え過ぎて動脈硬化が起こりやすくなるため、LDLは悪玉コレステロールとも呼ばれています。
■HDL・善玉コレステロールについて
コレステロールは肝臓から細胞へと運ばれるだけではなく、余分なものはコレステロールを溜め込んだ細胞から肝臓へと回収されます。
このときはHDLという物質に包まれた粒子がコレステロールを回収します。
HDLは血管壁に溜まったコレステロールを引き抜いて回収します。
HDLはLDLとは反対に動脈硬化を防いでくれる粒子でもあるため善玉コレステロールと呼ばれています。
■中性脂肪と動脈硬化
中性脂肪も体内の脂のひとつですが、コレステロールとは別の種類の脂で体のエネルギー源として使われます。
余分な中性脂肪はお腹などに蓄えられ、溜まりすぎると肥満につながります。
血液中に中性脂肪が増え過ぎると悪玉の味方になり動脈硬化を悪化させてしまいます。
■超悪玉コレステロール
中性脂肪が増えると悪玉が小型化して通常よりも血管の壁に入り込みやすくなります。
この状態は超悪玉とも呼ばれ、ますます動脈硬化が悪化しやすくなります。
また中性脂肪が増えると善玉コレステロールが減ってしまうため、コレステロールを抜き取る作業が低下して動脈硬化が悪化しやすくなります。
■脂質異常症の診断基準(空腹時採血)
●LDL・悪玉コレステロール
140mg/dL以上
境界域:120〜139mg/dL
●HDL・善玉コレステロール
40mg/dL未満
●中性脂肪
150mg/dL以上
診断基準に1つでも当てはまれば脂質異常症になります。
中でもLDL・悪玉コレステロールの影響が非常に強いといわれ、140mg/dL以上だと心筋梗塞のリスクが約4倍にもなるといわれています。
■脂質異常症の原因
・かたよった食事
・食べ過ぎ
・運動不足
・肥満
・遺伝
・病気
内臓脂肪による肥満では中性脂肪が増加し、善玉が減少してしまいます。
■脂質異常症の治療
・生活習慣の改善
・薬物療法
脂質異常症の治療は原因に応じて治療します。
家族性高コレステロール血症、甲状腺機能低下症、糖尿病などが原因となっている場合は、それぞれの病気の治療も行います。
女性の場合は閉経によってLDL・悪玉コレステロールが高くなることがあります。
●善玉と中性脂肪の目標値
善玉と中性脂肪に関しては診断基準の値をクリアすることが基本となります。
●悪玉の目標値
悪玉は狭心症や心筋梗塞を起こすリスクがどれほど高いかによって目標の値が変わってきます。
すでに狭心症や心筋梗塞を起こした場合は再発予防のためLDL・悪玉コレステロール値は100未満を目標とします。
糖尿病・慢性腎臓病・脳梗塞・抹消動脈疾患の場合は120未満を目標とします。
高血圧・喫煙・男性・年齢もリスクとして考慮し、それぞれのリスクの程度などによって、120未満、140未満、160未満のいずれかを目標値とします。