骨粗しょう症・圧迫骨折の予防・治療法!バルーン手術、デノスマブで骨密度アップ、予防トレーニング

骨粗しょう症の患者は日本で約1300万人いるといわれています。
特に女性に多く、60代で2人に1人、70代で70%もの人が骨粗しょう症の状態といわれています。
女性は更年期が大きく関係していて、更年期を迎えると女性ホルモンの機能が低下して骨粗しょう症になりすくなります。
どの年齢でも適切な治療・食事・運動によって骨は改善できます。
50代後半から足の裏の感覚機能や下半身の筋力が低下して転倒しやすくなり、骨折のリスクが高まります。

■骨粗しょう症について
骨では骨を壊す破骨細胞(はこつさいぼう)と骨を作る骨芽細胞(こつがさいぼう)の2種類の細胞が働いています。
2つの細胞がバランス良く働くことで常に新しい丈夫な骨に作り変えられています。
しかし加齢などが原因で破骨細胞が多く働いてしまうと、骨を壊す量が骨を作る量を上回ってしまい、骨の密度が低下して骨粗しょう症が起きてしまいます。

■圧迫骨折について
骨粗しょう症によって骨がスカスカになってしまうと自分の体重に背骨などが耐え切れなくなってしまいます。
すると尻もちなどの些細な衝撃でも骨がつぶれて圧迫骨折(あっぱくこっせつ)が起こることがあります。
圧迫骨折は手や足などの自覚症状を感じにくいのが特徴となっています。

■圧迫骨折の治療法
●安静にする

安静にしてコルセットなどをして骨が固まるのを待ちます。
3ヶ月安静にします。

●バルーン手術による骨折の治療
まずつぶれた骨に5ミリ程度の穴を開けます。
穴からカテーテルを挿入し、つぶれた骨が元の形になるようにバルーンの圧力で内側から広げていきます。
バルーンを抜くと広げた部分に空洞ができ、その空洞に骨セメントと呼ばれる人工の骨を流し込みます。
空洞が骨セメントで満たされて固まったら終わりです。
手術時間は30分ほどで、体の負担が少ない手術です。
バルーン手術は認定された医療機関で受けられます。
バルーン手術は2011年から保険適用になっていて、高額療養費制度適用で3割負担の自己負担で約10万円ていどになります。
ただし骨折の数が多い、骨の変形が強い、全身の健康状態が悪い、神経障害がある場合はバルーン手術は受けられません。

■骨粗しょう症の検査
DXA(デキサ)法では骨折しやすい背骨と骨折すると重傷になりやすい大腿骨(だいたいこつ)の付け根の2ヵ所を調べます。

■デノスマブで骨密度アップ
デノスマブを半年に1回皮下注射します。
デノスマブには破骨細胞の働きを抑える効果があるので骨の破壊を食い止めることができます。
その結果、骨が増え骨密度が上がります。
デノスマブの注射の効果は半年間持続します。

●低カルシウム血症に注意
破骨細胞は骨を壊し骨から得たカルシウムを血液に送り込む役割もあります。
デノスマブは破骨細胞の活動を抑えるので、血液に送る働きも弱ってしまいます。
血液中のカルシウムが不足するとしびれなどの症状を引き起こす低カルシウム血症になる場合があります。
そのため食事と運動に気をつけ、小松菜などを週に3回、4分の1束ほど食べると良いそうです。
また乳製品を食べてよりカルシウムを摂るのも良いそうです。

■カルシウムを食材でで骨密度アップ
小魚や牛乳・小松菜などのカルシウム食材、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが豊富なシイタケや鮭を摂ることも大切です。
ビタミンDは日光を浴びることでも良いそうです。
手のひらを太陽に15〜30分ていど当てるだけでも効果があります。
骨のしなやかさを保つ効果のあるビタミンKは、納豆やブロッコリーなどに含まれています。
骨の中にあるタンパク質を変化させて良い形にして骨の丈夫さにつながります。

■運動で骨密度アップ
踏み台昇降、その場歩きなどで骨に刺激を与えます。

■骨粗しょう症の治療薬
・デノスマブ
・ビスホスホネート
・SERM(サーム)
・副甲状腺ホルモン薬

■転倒骨折予防トレーニング
●足裏の感覚トレーニング

目をつぶり足に触れたものをイメージすることで感覚機能の改善に効果があります。

●体を傾けるトレーニング
座布団を用意その上に立ちます。
ヒザを曲げずに体を傾け、3〜5秒ほど姿勢を維持します。
前後左右それぞれ行います。
バランスが崩れても体を支えられるように壁の近くで行いましょう。

●足指トレーニング
イスに座り、足の指でタオルを持ち上げます。

●ヒザのトレーニング
イスに座り腰を真っ直ぐ伸ばします。
ヒザを伸ばして5秒キープします。
戻します。
左右のひざで行います。

●太ももとつま先のトレーニング
イスの背にもたれ、両足を少し前に出します。
片方ずつ太ももとつま先を胸に引き付けるように引っ張り上げます。
下ろします。
左右交互に行います。

●筋膜のストレッチ
肩幅に足を開き、手をテーブルに置きます。
手を前にすべらせるようにして上半身を伸ばします。
最初は30秒ほどキープします。
股関節を意識して体を直角に曲げるのがポイントになります。
筋膜は90秒伸ばすのが効果的だそうです。