肝臓病対策、薬物性肝障害、ダイエット脂肪肝、アルコール性肝障害、NASH

■肝臓(かんぞう)について
肝臓(かんぞう)とは、約2500億個の細胞からなる体内最大の臓器です。
重さは大人で体重の1/50に相当し、70kgの人だと1400gほどになります。
肝臓には主に3つの働きがあります。

肝臓の働きの一つ目が「代謝」です。
食べ物から摂った栄養素を貯蔵し、必要なときにエネルギーとして供給しています。
肝臓の働きの2つ目が「解毒作用」です。
アルコールや薬などに含まれる有毒な物質を分解し、無毒化してくれます。
肝臓の働きの3つ目が「胆汁の生成と分泌」です。
老廃物を流し、脂肪の分解や消化吸収を助けすのに必要な胆汁を作り分泌することです。

これら様々な役割を果たすための肝臓には、大量の血液が流れ込んでいます。
その量は1分間に約1.5リットルにもなり、栄養や酸素を取り込んでいます。
さらに肝臓は再生能力が高く、手術で70%を切除しても4ヶ月〜半年後にはほぼ元通りの大きさに戻り、機能も回復します 肝臓は機能が優れているために、ある程度病気が進行しないと自覚症状が現れません。
これが肝臓が沈黙の臓器と言われる所以です。
気付いたときには手遅れになることも多いです。
そのため定期的な肝臓の検査が大切になります。

■肝臓病の症状
・肌が黄色く黄疸
・身体がだるくなる
・皮膚がかゆくなる

こういった症状は、肝臓がかなりダメージを受けて病気が進行した時に出る症状です。

■胆嚢炎(たんのうえん)と胆管炎(たんかんえん)
胆石(たんせき)が出来て詰まると、本来流れてくる胆汁がせき止められ、バイ菌の感染を起こしてしまうことがあります。
それにより胆嚢炎(たんのうえん)や胆管炎(たんかんえん)を引き起こす可能性があります。
さらに放置すると敗血症(はいけっしょう)を起こし、全身に菌がまわり意識を失うこともあります。
最悪の場合、死に至ることもあります。

■胆石が詰まったときに現れるサイン
・右脇腹の激痛
・高熱
・黄疸

この3つが胆嚢炎(たんのうえん)と胆管炎(たんかんえん)のサインになるので、胆石を持っている人、もしくは胆石をもっていると言われたことがある人はこの症状に気をつけて、症状が出たら直ぐに病院にいきましょう。

■薬物性肝障害(やくぶつせいかんしょうがい)
薬物性肝障害(やくぶつせいかんしょうがい)とは、薬によって引き起こるされる肝機能障害の一つです。
本来病気を治すための薬が原因で、肝臓に障害が引き起こされることがあります。
薬を飲むと肝臓で分解し、体に害を与えないように解毒処理が施され、胆臓などから排泄されます。
しかし肝臓が分解できる量を超えると肝臓の処理能力が追いつかず、過度の負担がかかってしまいます。
すると薬を無害に出来ずに中毒を引き起こしてしまいます。
頭痛や鎮痛剤を予防目的で毎日飲んでいる人は多いですが、症状が出る前に飲んでも効果がでないこともあります。
薬の量が増えて起こるものもあるし、少しだけでも肝臓が悪くなる物もあるので、サプリメントも含め、どんな物でも肝臓が悪くなる可能性があります。
薬物性肝障害の治療法としては、原因となる薬の服用を中止するしかありません。
薬やサプリメントは用法・用量を守り正しく使うことが重要です。

■薬物性肝障害の症状
●初期症状

・体のだるさ
・吐き気
・食欲不振
・腹痛

●進行すると起こる症状
・発熱
・発疹
・かゆみ
・黄疸

■ダイエット脂肪肝
極端な食事制限を行い急激に体重を落とすと、肝臓はエネルギーである脂肪を蓄えようとします。
そのため体は痩せても肝臓に脂肪が付き、脂肪肝になってしまうことがあります。
無理なダイエットはしないで、バランス良く量を減らして食べることが大切です。

■アルコール性肝障害
アルコールは肝臓で無毒化されますが、過度にアルコールを摂取すると代謝が間に合わなくなり、肝臓に脂肪が蓄積されてしまいます。
これをアルコール性肝障害といいます。
アルコール性肝障害の対処法は、お酒の量を減らすことです。
肝機能のデータがかなり悪い人は禁酒が必要になります。

■アルコールの1日に許容される摂取量
・日本酒:1〜2合
・ビール:1〜2本
・焼酎:0.5〜1合
・ウイスキー:ダブル1〜2杯

飲み過ぎた時は休肝日を作るようにし、全体の酒量を減らすことが大切です。
ただし休肝日をとっても肝臓の病気が予防できるという科学的なデータは今のところありません。
休肝日を設けることによって飲み過ぎを予防することができます。

■NASH
NASHとは非アルコール性脂肪肝炎のことをいい、お酒をほとんど飲まない人の肝臓に、脂肪が異常に蓄積することで起こる肝炎のことをいいます。
NASHは肝硬変や肝臓癌に進行する人が高いといわれています。
患者数は男性が圧倒的に多いですが、近年女性患者が増加しています。
特に50歳を越える患者が急増しています。
進行も男性よりも早いといわれています。
NASHの予防策としては、体重を減らすことになります。
ただし急激な減量はNASHを悪化させる可能性があるので要注意です。