脊髄終糸症候群による腰痛、前屈みやうつむいた姿勢で腰痛が増す

脳からの信号を伝える脊髄と尾骨とをつなぐ細い糸のような組織の脊髄終糸が硬いことで腰痛を引き起こすことがあります。
前屈みでうつむいた姿勢で腰痛が増したり、腰痛と一緒に頻尿や尿漏れなどの膀胱の症状が現れるときは脊髄終糸症候群が腰痛の原因となっている場合があります。

■脊髄終糸症候群(せきずいしゅうししょうこうぐん)について
脊髄終糸(せきずいしゅうし)とは、脳からの信号を伝える太い神経組織の脊髄と背骨の端にある尾骨とをつなぐ、長さ25cm太さ1mmほどの細い糸のような組織のことをいいます。
通常、終糸にはゴムのような弾力性があり、腰を曲げるときも伸びることで脊髄を引っ張らないように出来ています。
しかしもともと終糸が硬い人がいます。
それは身体の硬い人です。
前屈をしたときに指先と床が20cm以上離れていると、終糸が硬い可能性があるといわれています。
終糸の硬い人は腰を曲げてもほとんど終糸が伸びないため、脊髄が強く引っ張られることになってしまいます。
この状態が長く続くと、脊髄の一部で血行が悪化してしまいます。
そこに重い物を持ったり、長時間同じ姿勢で立つといった、さらなる負担が重なっていくと、細胞が酸素不足に陥り、神経が興奮して激しい痛みを引き起こすと考えられています。

■脊髄終糸症候群の特徴
・前屈みでうつむいた姿勢で腰痛が増す
・頻尿や尿漏れなどの膀胱の症状が現れる

●前屈みでうつむいた姿勢で腰痛が増す
終糸が伸びず脊髄が引っ張られたため、強い痛みが腰から両足にかけて起こります。

●頻尿や尿漏れなどの膀胱の症状が現れる
脊髄終糸症候群で血行不良になりやすいところには、腰や足に通じる神経だけではなく、膀胱や腸に通じる神経も走っています。
このため頻尿や尿漏れなどの尿の症状が起こり、さらには下痢や便秘といったお通じの症状が起こりやすくなります。

■脊髄終糸症候群の手術で腰痛改善
脊髄終糸症候群は、画像には現れないため発見が極めて難しい病気です。
しかし一度脊髄終糸症候群と診断が付けば、手術で終糸を切断することでほとんどの人が劇的に腰痛が改善しています。
終糸は盲腸と同じように今は不要な組織なので、切断しても全く影響はないそうです。

■腰痛の名医(2014年6月時点)
厚生中央病院 脊椎脊髄外科部長
駒形 正志(こまがた まさし)先生