腰痛の原因は股関節の異常、股関節ストレッチで腰痛改善、臼蓋形成不全

臼蓋形成不全は大腿骨の先端を包む骨盤の屋根の部分が浅く、大腿骨がきちんと覆われていない状態のことをいいます。
腰からお尻、さらに太ももにかけて神経の痛みがある人は股関節が腰痛の原因である可能性があります。
股関節ストレッチを行う事で腰痛予防効果が期待できます。

■股関節の異常が腰痛の原因
股関節は人体最大の関節です。
大腿骨(だいたいこつ)の端にある直径5cmほどの大きさの丸い骨と、それを受ける骨盤のお椀のような部分が組み合わさった人体の要といえる関節です。
股関節が何らかの原因で擦り減ることで周りの組織に炎症が起き、腰痛を引き起こすことがあります。
股関節の痛みが神経を通じて脳へと伝わる途中で、近くを通る腰の神経と混線して脳が腰が痛いと勘違いしてしまうことがあります。
日本人の200万人〜500万人が股関節の異常を抱えていると推定されています。
腰痛と勘違いして股関節の異常に気付いていない潜在患者も少なくありません。

■パトリックステスト(股関節の異常チェック)
パトリックステストとは、股関節の異常を広く見つけ出すため医療現場でも行われる簡易的な検査法です。

仰向けに寝そべった状態で片足を組み、組んだ方の足を下に向けて倒していきます。
倒した足が地面と水平になれば股関節に異常はありません。
股関節に異常があると、痛みのために途中までしか倒せなかったり、足を組むことすらできなくなります。
また左右で倒れ方に違いがあると、股関節の異常が疑われます。

■臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)について
臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)とは、大腿骨の先端を包む骨盤の屋根の部分が浅く、大腿骨がきちんと覆われていない状態のことをいいます。
逆に深過ぎる人も含めて、骨盤の形の悪さが股関節の異常を招きやすい原因となっています。
日本人の女性に多いのが屋根の浅いタイプです。
こうなると本来骨全体で受けるはずの荷重が狭い範囲に集中してしまい、加齢と共にダメージが蓄積されることで軟骨を擦り減らしてしまいます。

腰からお尻、さらに太ももにかけて神経の痛みがある人は、股関節の異常による腰痛が疑われます。

■姿勢の悪さが腰痛の原因となる
良い姿勢の時は、骨盤は地面に対してほぼ水平になっています。
しかし姿勢が悪いと、骨盤が回転し後ろに傾いた状態になります。
この姿勢の悪さが、骨の形と合わせて股関節に異常を引き起こしやすい原因となります。
骨の形の悪さに加え、姿勢の悪さによっても股関節にかかる負荷が狭い範囲に集中し、より軟骨が擦り減って腰痛を引き起こしやすくなります。

私達の股関節には、想像以上の負荷がかかっています。
日常の動作をするとき、体内では身体のバランスを取るために筋肉が常に伸びたり縮んだりを繰り返しています。
この筋肉の締め付けなどによって、股関節にかかる負荷は体重をはるかに超える大きさになっています。
骨の形や姿勢の悪い人が、長年その大きな負荷を受け続けることで軟骨が擦り減り、腰痛を引き起こしやすくなってしまいます。

●股関節に負荷の大きい動作
・買い物     :体重の16.6倍
・料理をする   :体重の5.5倍
・掃除機をかける :体重の5倍
・洗濯物を干す  :体重の4.4倍

重心が移動するため、筋肉が激しく動き股関節への負荷が大きくなります。
股関節に異常がある人は、重い物を持つなどの負荷の大きな動作は避けるようにした方が良いです。

■股関節ストレッチで腰痛改善
無理なく股関節を動かすことによって軟骨に栄養が行き渡り、硬くなった周りの筋肉がほぐれて腰痛などの症状が改善します。
さらに現在腰痛でではない人でにも、股関節ストレッチを行う事で腰痛予防効果が期待できます。
早ければ1週間程度で腰痛改善効果が現れてきます。

●足広げストレッチで腰痛改善
イスに浅く腰掛けます。
足を開いたり閉じたりして股関節を動かします。
10回1セット、1日2〜3セットストレッチを行います。

●骨盤起こしストレッチで腰痛改善
イスに浅く腰掛け、お腹を引っ込めます。
おへそを前に突き出したり引っ込めたりします。
肩を動かさず、お腹だけを動かすようにストレッチします。
10回1セット、1日2〜3セットストレッチを行います。

■股関節が原因の腰痛の名医(2014年6月時点)
神奈川リハビリテーション病院 副病院長
杉山 肇(すぎやま はじめ)先生