高齢者の腰痛の原因が骨粗しょう症である場合は骨粗しょう症の治療をしっかりと行うことが大切です。
若いうちからカルシウムをとったり運動を行ったりして骨を丈夫にしておくことも大切です。

■圧迫骨折と関わりが深い骨粗しょう症
圧迫骨折の原因の多くは、骨粗しょう症という病気と考えられています。
加齢と共に骨のミネラルが減少していき、骨がもろくなり潰れやすくなってしまいます。
高齢者の場合、骨粗しょう症によってもろくなった腰椎に上下から力が加わると、押しつぶされるように骨が潰れてしまいます。
特にお腹側が潰れてしまうことが多いといわれています。
高齢者が尻もちを付いたり、重い物を持っただけで圧迫骨折が起こることがあります。
また女性の場合は、閉経前後から骨粗しょう症が進行するため、圧迫骨折の危険性が高くなっていきます。

■圧迫骨折による腰痛
圧迫骨折で骨が折れると、急性期では骨折の為に激しい痛みや腰痛、背部痛が起こります。
骨折した骨がだんだん固まってくると潰れた状態でくっ付いてしまうため、全身的に背骨が曲がってきてしまいます。
そのために背中や腰に負担がかかり、腰痛や背部痛が慢性的に続くようになってしまいます。
また高齢者では痛みがないまま圧迫骨折が進行して行き、気が付いたら背骨が曲がってしまい慢性的な腰痛に悩む人もいます。

■圧迫骨折チェック
・姿勢がだんだん前屈みになってきて辛くなる
・仰向けに寝ることができない
・身長が3cm以上縮んだ

■骨粗しょう症の治療法
圧迫骨折の原因が骨粗しょう症にある場合は、骨粗しょう症の治療を行います。

●薬物療法（骨粗しょう症の治療法）
　ビスホスホネート　　：骨の吸収を抑えます
　副甲状腺ホルモン薬　：骨の形成を助けます
　ビタミンD　　　　　　：カルシウムの吸収を良くします

●食事療法（骨粗しょう症の治療法）
カルシウムやビタミンDの含まれた食事をしっかり摂るようにします。

●運動療法（骨粗しょう症の治療法）
痛みが治まってきたら運動療法を行います。
運動療法である程度負荷をかけると骨が丈夫になり、圧迫骨折の再発を予防することができます。

■圧迫骨折による腰痛の治療法
●薬物療法
　非ステロイド性消炎鎮痛薬　：痛みをやわらげます
　カルシトニン注射　　　　　：骨を丈夫にして痛みを取ります

●理学療法
局所を安定させるためにコルセットやギプスを装着します。

●運動療法
ウォーキングなどを行います。

●ウォーキングのポイント
・前屈みにならないような姿勢で歩く
・アゴを引く
・目線は10〜15メートル先を見る
・胸を張る

●杖を使ってウォーキング
高齢者の場合でウォーキングが難しい場合は、杖を使うとよいです。
杖を使う際には適切な長さに調節することが大切です。
手を体の横に垂らした時に、ちょうど手首の高さになるように合わせます。
実際に持った時は軽くヒジが曲がるくらいになります。

●シルバーカーを使ってウォーキング
高齢者の場合で杖を使っても歩行が難しい場合は、シルバーカーを使うとよいです。
手で掴むバーの高さは、持ったときに軽くヒジが曲がって肩が上がらない程度に調節します。
持った時にシルバーカーと体の距離が20cm〜30cm位の距離で歩きます。

●圧迫骨折の手術療法
薬物療法・理学療法・運動療法などの保存療法を行っても痛みが引かず、日常生活に支障が出る場合には手術を検討します。

●経皮的椎体形成術（けいひてきついたいけいせいじゅつ）
背中から皮膚通して背骨の潰れた骨の中に針を刺し、風船を膨らませます。
すると潰れた骨が広がって高さが保たれます。
そこに空洞ができるのでセメントを注入します。
経皮的椎体形成術による治療は、30分〜1時間ぐらいで終わります。
当日か翌日から歩いて一定の日常生活を行うことができます。