腰痛原因の特定、変形性腰椎症、SAPHO症候群、トリガーポイント

変形性腰椎症は加齢などで腰の骨の変形などが原因で神経や周りの筋肉が圧迫されて痛みが起こる病気。
SAPHO症候群は全身の骨や関節に炎症が起き痛みが発生する自己免疫疾患です。
腰痛の原因としては骨の老化現象や筋肉痛、背骨の癌や感染症、内臓の疾患、その他の疾患などがあります。

■腰痛の多くが原因不明
腰痛は日本人の4人に1人が悩まされている国民病でもあります。
しかし腰痛の8割以上が原因不明とされていて、根本的な治療がなかなか進みません。
腰痛は必ずしも腰椎椎間板ヘルニアなどのように腰の骨に異常があるとは限りません。
腰痛の裏に重大な病気が隠れている場合もあります。

■変形性腰椎症(へんけいせいようついしょう)について
変形性腰椎症(へんけいせいようついしょう)とは、加齢による腰の骨の変形などが原因で神経や周りの筋肉が圧迫されて炎症が生じ痛みが起こる病気です。
40歳を越えての腰痛の多くが変形性腰椎症と診断されることが多いです。
変形性腰椎症の治療としては、神経の興奮を抑える神経ブロック注射や炎症を抑える飲み薬や座薬などがあります。

■SAPHO症候群(サフォーしょうこうぐん)による腰痛
SAPHO症候群(サフォーしょうこうぐん)とは、全身の骨や関節に炎症が起き、主に胸・首・腰に痛みが発生する自己免疫疾患です。
詳しい原因は分かっていませんが、ウイルスなどを退治する免疫機能が暴走して自らの細胞を攻撃して炎症が発生します。
悪化すると強烈な痛みが1日中続いたりします。
年間発症数も少なく極めて稀な病気のため、病名の特定が難しいといわれています。
治療法としては、免疫異常を抑える薬で腰痛を和らげます。

●SAPHO症候群の特徴
・手の平や足の裏に炎症を起こす
・骨盤の痛み
 骨盤と骨盤をつなぐ関節部分に炎症が起き、押すと痛みが出ます。

■腰痛の原因
・骨の老化現象や筋肉痛
・背骨の癌や感染症
・内臓の疾患(腎臓、膵臓など)
・その他の疾患

●内臓の疾患が腰痛の原因
腰の少し上の背骨の両サイドには腎臓と膵臓があります。
この2つに異常があると腰痛を起こしやすい臓器です。
ここに炎症などがある場合、腰の骨にも伝わって痛みを起こすことがあります。

■腰痛原因のトリガーポイント
腰痛の原因が様々あるため、専門医でも正しい原因をつきとめるのは難しいといわれています。
代表的な腰痛であれば簡単な方法で腰痛の原因や対処法が分かります。
腰痛はある特定の場所を押した時に強い痛みが出るかどうかで、その原因の目安や対処法を知ることができます。
この押して痛みが出る場所をトリガーポイントといいます。

●筋肉の疲労や炎症が腰痛の原因
ベルトをする位置を確認します。
ここから拳2個分上に行きます。
さらにそこから左右に拳1つ分行った辺りがトリガーポイントになります。
多少上下にズレたり広がったりすることもあります。
皮膚が1〜2cmへこむぐらいの力で押します。
運動や同じ姿勢を長く保っていると、筋肉の疲労や炎症が腰痛の原因となることがあります。
対処法としては、ストレッチやマッサージで筋肉を柔らかくしたり、お風呂で温めたりすると良いそうです。

●椎間板周辺の炎症が腰痛の原因
ベルトをする位置の少し下辺り、ここに手をかけて骨盤の真ん中に人差し指をかけたときに親指があたる部分がトリガーポイントになります。
椎間板の周辺に炎症が起こると、トリガーポイントが痛くなることがあります。
対処法としては、腹筋や背筋を鍛えて椎間板に負担をかけない身体を作ることが大切になります。

●神経の圧迫が腰痛の原因
脚の付け根の骨が横に出っ張った部分を確認します。
そこから指3〜4本内側に寄ったお尻のえくぼの下辺りがトリガーポイントになります。
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、神経が圧迫されて腰痛が起こります。
治療のためには、ブロック注射や手術などの医師の治療が必要です。

■腰痛の名医(2015年1月時点)
慶応義塾大学病院 整形外科 診療部長
松本 守雄(まつもと もりお)先生
腰痛に隠された本当の原因を探るため、全身のあらゆる場所を実際に触れてわずかな変化を見逃さない腰痛のエキスパートです。