鼻ポリープは鼻水や粘膜の腫れです。副鼻腔に炎症が起こるのが蓄膿症(ちくのうしょう)。鼻ポリープが相当大きくならないと鼻づまりなどの自覚症状が出ません。嗅覚が弱まる時は可能性があります。
■鼻ポリープについて
鼻ポリープは別名「鼻茸(はなたけ)」ともいい、患者は推定100万人いるとされています。
鼻ポリープが出来るのは鼻の奥の方で、鼻の奥には副鼻腔(ふくびくう)と呼ばれる8つの空洞があります。
副鼻腔に炎症が起こるのが蓄膿症(ちくのうしょう)で、慢性副鼻腔炎といいます。
菌やウイルスを体の外に出そうとして鼻の粘膜は鼻水を大量に作り出します。
その鼻水がどんどん出ていけば問題ないのですが、中には溜まってしまう場合があります。
鼻水や粘膜の腫れが鼻ポリープになります。
ただし鼻ポリープは小さいうちは気付きません。
それは鼻づまりの症状がないためです。
鼻ポリープが相当大きくならないと鼻づまりを感じません。
鼻ポリープが次第に成長していき、息の通り道を塞ぐようになると鼻づまりの症状を感じます。
■鼻ポリープの症状
・頭が痛い
・下を向くと頭が重い
・集中できない
・たんがからむ
通常、鼻カゼは1週間ぐらいで治ります。
1ヶ月経っても治らない場合は医師に相談しましょう。
鼻ポリープの自覚症状が出るには2〜3年かかります。
■鼻ポリープと嗅覚(きゅうかく)
鼻にはニオイセンサーがあります。
このニオイセンサーを鼻ポリープが覆ってしまうとにおいを感じにくくなります。
つまり鼻ポリープの早期発見のポイントは嗅覚が弱まることになります。
■嗅覚チェック法
醤油などの台所にある比較的においの強いものを嗅いでみることで、嗅覚チェックを行うことができます。
においを感じないときは鼻ポリープの可能性があるので、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
つまり進行した鼻ポリープは、においで早期発見が可能です。
■好酸球(こうさんきゅう)
好酸球(こうさんきゅう)は白血球(はっけっきゅう)の一種で、本来は外からやってきた異物などを退治してくれる働きをしています。
人によってはこの好酸球が増え過ぎてしまう体質の人がいます。
この体質の人の鼻に異物が入ってくると、やっつけ過ぎて自分の体を攻撃して炎症を引き起こしてしまいます。
この炎症がもとで出来るのが鼻ポリープです。
■鼻ポリープとぜんそく
好酸球は気道でも炎症を引き起こします。
それがぜんそくです。
鼻ポリープは鼻水や鼻づまりを引き起こし、ぜんそくは咳を引き起こします。
鼻ポリープとぜんそくが両方を併発する患者さんもいます。
鼻ポリープとぜんそくを併発すると、カゼと勘違いしやすくなります。
つまりカゼと思ったまま鼻ポリープが大きくなり、また炎症もひどくなり、悪化させてしまうこともあります。
大人になってからぜんそくにかかった人は、鼻ポリープができやすいといわれています。
好酸球性副鼻腔炎(こうさんきゅうせいふくびくうえん)は数万人から数十万人いるとされています。
■虫歯による鼻づまり
ふつう蓄膿症は左右両方で起こります。
歯の根元が副鼻腔(ふくびくう)に飛び出している場合があります。
そのため虫歯菌が副鼻腔に入ってしまい化膿することがあります。
副鼻腔と歯の間は数ミリしか厚さがありません。
そのために現代人では、歯が上に突き出ている人が多くいます。 この副鼻腔と歯の間を歯槽骨(しそうこつ)といい、硬い物を噛むほど発達します。
現代人はやわらかい物ばかり食べるため歯槽骨が薄くなっていて、歯の根っこが副鼻腔の方へ飛び出している人がいます。
4人に1人は歯が副鼻腔の方に飛び出しているといわれています。
■歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)
原因となるのは上顎の奥歯で、歯の根元が成長と発育の過程で上顎洞(じょうがくどう)という副鼻腔の中に突き出ていると、炎症が起きやすくなります。
そういう人が歯のケアを怠り虫歯を放置したり、差し歯のケアを怠ったりしていると、歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)を発症する可能性があります。
治療済みの歯のケアも大切です。
歯性上顎洞炎の治療は、歯科・口腔外科と耳鼻咽喉科の両方がある大きな病院がおすすめです。
■歯性上顎洞炎の見分け方
・片側だけ鼻水や鼻づまりが起きる
・上顎の奥歯が痛い
■鼻の名医(2013年11月時点)
東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科 准教授
鴻 信義 (おおとり のぶよし )先生