感染症は病原体が体内に侵入し増殖して引き起こす疾患!食中毒・サルモネラ菌・腸炎ビブリオ菌、腸管出血性大腸菌では下痢(げり)や嘔吐(おうと)の症状。国際化の影響で日本の存在しなかった毒性の強い結核菌が蔓延
■感染症について
感染症とは、病原体が体内に侵入し増殖して引き起こす疾患、食中毒、インフルエンザ、カゼ、歯周病など全てをいいます。
■腐敗菌
食べ物の痛んだ時のニオイや見た目の変化は、腐敗菌が食品中のタンパク質を分解するために起こります。
■細菌
細菌は下痢や腹痛を起こすという症状ではウイルスと似ていますが、細菌は食品の中で細胞分裂し増殖します。
細菌による感染症は気温や湿度の影響を受けるため、梅雨から秋にかけて流行します。
■ウイルス
ウイルスは感染した人の細胞に侵入し増殖します。
ウイルスによる感染症は警戒がゆるむ秋から冬に流行します。
■免疫と感染症
病原体の量や毒性、免疫などの抵抗力とのバランスで感染症が発症するかどうかが決まってきます。
規則正しい生活などを心掛けることが重要になります。
体力が低下すると感染症にかかりやすくなります。
■食中毒
食中毒菌は見た目やニオイに変化を起こさないためとても危険です。
食中毒を起こす細菌は10種類ほど、食中毒を起こすウイルスはノロウイルスなどの4〜5種類が中心になります。
これらの細菌が起こす代表的な症状が下痢(げり)や嘔吐(おうと)です。
下痢や嘔吐は細菌やウイルスを体が排出するために起こす防衛反応でもあります。
食中毒は最悪の場合死に至ることもあります。
■サルモネラ菌
サルモネラ菌の潜伏期間は8〜24時間。
カゼに似た症状で、水のような下痢と嘔吐を引き起こします。
サルモネラ菌の生息場所は生卵や鶏肉になります。
サルモネラ菌が卵の殻に付着した場合、それを触ると指先にサルモネラ菌が移動します。
そのまま料理を続けると感染してしまいます。
●サルモネラ菌の対策
・卵を触ったら手を洗う
・加熱処理で60℃以上で3分加熱
・購入後は素早く冷蔵庫へ
■腸炎ビブリオ菌
腸炎ビブリオ菌の潜伏期間は早くて2時間。
猛烈な腹痛と下痢、意識障害、しびれなどの症状を引き起こします。
腸炎ビブリオ菌の生息場所は魚や貝などの生の魚介類です。
腸炎ビブリオ菌は数時間経つと1000倍にも増殖すると言われています。
腸炎ビブリオ菌は熱に弱く、100℃に加熱すると数分で死滅します。
また4℃以下ではほとんど増殖しません。
●腸炎ビブリオ菌の対策
・真水(水道水)で洗う
・過熱処理
・素早く冷蔵庫のチルド室へ
■腸管出血性大腸菌(O-157)
腸管出血性大腸菌(O157)の潜伏期間は2日〜5日間。
激しい腹痛や出血を伴う下痢の症状が出ます。
発症から短時間で死に至ることもあります。
腸管出血性大腸菌は牛や羊などの動物の腸の中に生息する菌で、本来人には存在しません。
O157などの腸管出血性大腸菌がひとたび人間の大腸の中に入ると、ベロ毒素と呼ばれる毒素に変化します。
この毒素が腸の壁を出血させ血管に侵入し、下痢や出血を伴うのが特徴です。
ベロ毒素は出血部から血管に侵入し全身を巡り、やがて腎臓に入って攻撃し腎臓の機能を破壊します。
全身の血液に腎臓で処理される尿素などの老廃物が溜まる溶血性尿毒症症候群を発症し死に至ることもあります。
●腸管出血性大腸菌の対策
・生食はなるべく避ける
・過熱処理する(75℃以上で1分)
・調理の順番を最後にする
・調理後のまな板や包丁はきちんと洗う
■嘔吐物による感染症
家庭内でも感染につながることを知ることが大切です。
たった一つでも細菌やウイルスが家庭内に持ち込まれれば、そこから感染症が蔓延してしまいます。
まず注意したいのが嘔吐物の処理になります。
ノロウイルスは嘔吐物1gあたり100万個生息しているとされています。
嘔吐物が乾燥すると、ウイルスが空気を漂いそれが口に入り感染します。
■嘔吐物の処理
細菌やウイルスの拡散を防ぐため布や新聞紙などで覆い、ビニール袋に入れて焼却処分します。
台所用に漂白剤を50倍に薄め、拭き残しがないように丁寧に拭き取ります。
■胃腸と感染症
感染するしないは免疫力と胃腸の状態で変わります。
胃に辿り着いた細菌やウイルスは胃酸で殺菌されますが、胃酸が少なかったり、胃の働きが弱い人は胃の中で殺菌がおこなわれず、胃を通過してしまいます。
■良く噛んで感染症予防
これには食事の際によく噛むことが重要になります。
よく噛むことにより胃の状態を正しく保つと同時に、食べ物が胃酸に触れて殺菌されやすくなる効果が期待できます。
■善玉菌を増やして感染症予防
善玉菌を腸内に多く保有する人は、細菌やウイルスの病原体が腸内に侵入しても腸内にいられずに腸の壁に張り付かず、食中毒にかかりにくくなります。
善玉菌を増やすのがヨーグルト、納豆、キムチなどの醗酵食品と言われています。
■エアコンと感染症
エアコンの中にはトリコスポロンという細菌が多くいます。
トリコスポロンが体内に入るとカゼの症状に似た夏型過敏性肺炎を引き起こしてしまいます。
■家庭内感染
歯磨きなどに使用するコップは、水が底に残りやすく細菌が繁殖しやすくなってしまいます。
一つのタオルを共用すると、家族内の感染を広げてしまいます。
タオルやリモコンなど家族の共用物使用には注意が必要です。
ちょっとした注意で家庭内感染を予防することができます。
■結核の流行による感染症
国際化の影響で日本の存在しなかった毒性の強い結核菌が上陸して広がっています。
大都市の若者を中心に流行しています。
症状としては2週間以上、せきやたんが長く続きます。
肺結核では鼻水やのどの痛みがありません。