脂肪肝・しぼうかんの改善!肝硬変、NASH・非アルコール性脂肪肝炎!脂肪肝は体重の5〜7%を落とせば改善。肝臓の脂肪は付きやすく取れやすいので、体重を極端に変動させず少しずつ減らして維持していくことがポイント
昔は肝臓の病気はお酒を飲む人の病気で、お酒を飲まない人には無縁と言われてきました。
しかし最近はお酒を飲まない脂肪肝の患者さんも肝炎へと進み、将来的には肝硬変になるということが分かってきています。
美味しい物ばかり食べて脂肪肝を放置しておくと、お酒を飲まなくても肝硬変になったり、命を落とす可能性があります。
■NASH(非アルコール性脂肪肝炎)
ほんの数年前まで肝臓の病気はアルコールやウイルスが原因というのが医学会の常識でした。
しかし1980年アメリカの医師ルードウィヒが「飲酒習慣のない人でも炎症や繊維化が見られる脂肪肝がある」という臨床例を発表しました。
この症例を非アルコール性脂肪肝炎・NASH(ナッシュ)と名付けました。
肝臓に蓄積する脂肪肝は主に中性脂肪です。
脂肪肝は食べ過ぎや運動不足が原因で30%以上の脂肪が肝臓に蓄積している状態のことになります。
正常な肝細胞は一つの肝細胞の中に核があるのが分かります。
しかし脂肪肝の肝細胞は核の周囲がみんな脂で抜けています。
脂肪肝が進行した肝硬変は大きく膨らんだ脂肪に核が押し出され、肝細胞が壊されてしまいます。
このように肝細胞が壊れると炎症が起こり肝炎に進行してしまいます。
肝炎というくらいですから細胞がどんどん死んでいきます。
また死んだ後の修復の過程で繊維化が起こってきます。
そして肝硬変まで進んでいくと言われています。
繊維化とは炎症が繰り返していくうちに除々に肝臓が硬くなり、本来の働きができなくなることです。
お酒を飲まなくても繊維化まで進んでしまった状態がNASH(非アルコール性脂肪肝炎)です。
■NASH(非アルコール性脂肪肝炎)検査
一般的な脂肪肝は超音波検査で診断できます。
NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の診断は肝生検といって、腹部に針を挿入し肝臓の細胞を取り出す検査を行います。
最近では肝生検を受ける段階かどうか、エラストメーターという超音波で肝臓の硬さを計測し繊維化をチェックすることができます。
■脂肪肝の種類
・過栄養性脂肪肝
NASH(非アルコール性脂肪肝炎)になります。
・アルコール性脂肪肝
■脂肪肝とアルコール
1日20g程度の飲酒(日本酒1合、ビール中瓶1本以下)であればアルコールの影響は少ない。
アルコール性脂肪肝や肝障害は、日本酒で3合以上、ビールでは大瓶3本以上を毎日飲み続けた場合に診断されます。
脂肪肝はアルコールだけではなく、同時に過食も原因になっている場合が多くなっています。
休肝日に飲酒量を控えても、日々の過度の飲酒は肝臓への負担になります。
脂肪肝の改善には生活習慣の改善が大切です。
■皮下脂肪型と内臓脂肪型
長期間かけて太った場合は皮下脂肪型、短期間で太った場合は内臓脂肪型になりやすい傾向があります。
そのため急に太ってしまう内臓脂肪型の場合は脂肪肝になりやすい傾向があります。
栄養を摂取した時に真っ先に貯蔵される場所が肝臓で、次に内臓脂肪、最後に皮下脂肪に蓄積されていきます。
肝臓は体内でエネルギーが不足した時に貯蔵している脂肪を使って補うという大切な働きをしています。
朝食を抜き長時間エネルギーを摂らない状態が続くと、肝臓はエネルギーを節約しようとして省エネモードになってしまいます。
その状態で昼食を摂ってしまうと吸収が良くなり余計な脂肪が肝臓に蓄積しやすくなってしまいます。
■タンパク質と脂肪肝
タンパク質が不足すると筋肉量が低下し、エネルギーを消費する力が弱くなってしまいます。
そのためリバウンドしたときに以前より肝臓に脂肪がつきやすくなってしまいます。
また中性脂肪がエネルギーとして使われる時はタンパク質と結びついて血液中に流れていきます。
そのためタンパク質が不足すると脂肪が運べなくなってしまい脂肪肝になりやすくなります。
脂肪の少ない肉類や大豆製品などを同時に摂り入れタンパク質をバランス良く摂取しましょう。
■脂肪肝の改善はゆっくり体重を減らす
脂肪肝の克服にはがんばり過ぎないことも重要なポイントです。
急激なダイエットというのは脂肪肝の改善よりはむしろ悪い方向に働くこともあるので、まずはゆっくりと着実なダイエットを心掛けることが重要です。
脂肪肝は体重の5〜7%を落とせば改善できると言われています。
また肝臓の脂肪は付きやすく取れやすいので、体重を極端に変動させず少しずつ減らして維持していくことがポイントです。
脂肪肝の改善は焦らずに続けていくことが大切です。
■脂肪肝の改善・治療
脂肪肝やNASH(非アルコール性脂肪肝炎)糖尿病など他の生活習慣病とも関係が深いとされています。
軽度の脂肪肝やNASH(非アルコール性脂肪肝炎)は、適切な減量や薬物療法で改善することが可能です。
ただし肝硬変に近い段階まで進んでしまった場合は専門的な治療が必要になります。
脂肪肝やNASH(非アルコール性脂肪肝炎)は自覚症状が無いからといって放置しないことが大切です。