鉄不足と不眠!脳の鉄分が不足が脚の不快感、レストレスレッグス症候群、むずむず脚症候群を引き起こす。脳の神経細胞のA11(エーイレブン)。脚の表面ではなく奥に不快感がある、動かない時に不快感が強まる
■脚の不快感
脚の不快感が症状となってあらわれる病気はたくさんあります。
そのためそれを見分けるのは医師でも難しいと言われています。
抹消の血液の循環が悪くても脚がむずむずしたり、ちくちくしたりするので、血液の循環を良くする薬を出して様子を見る場合もあります。
寝ている時に脚が火照る症状がある時は、腰からくるものが一番多くあり、脊椎管狭窄症で出る場合もあります。
脚の感覚異常は抹消神経障害が考えられ、原因としては糖尿病やリウマチ系の病気があります。
■眠れない脚の不快感の症状
火照る、だるい、痛い、むずむずする、疼く、ちりちりする、熱い、冷たい、ズキズキ、痛痒い、引きつる、重い等
●特徴
・脚の不快感が止まず、とにかく脚を動かしたくて仕方がない
・横になると起こる
■脳の神経細胞のA11(エーイレブン)の働き
私達の身体は神経が身体中に張り巡らされています。
例えば、火を近付けると刺激が信号となって脊髄を通って脳へと送られます。
このとき初めて私達は熱いと感じます。
実は私達は、常にありとあらゆる刺激にさらされています。
例えば、靴下を履いているという些細な刺激も脳の方には届いています。
刺激の信号が脊髄を通って脳に伝わりますが、このとき脊髄は興奮します。
脳の神経細胞のA11(エーイレブン)は、この興奮を鎮める信号を送ることで、たいしたことのない信号は脳に入ってこないようにしています。
そのため私達は常に不快感にさいなまれないで済むようになっています。
ところが脚の不快感に悩む患者さんの場合、何らかの理由でA11(エーイレブン)の働きが弱まってしまい、脚からの刺激がどんどん脳へと入ってきてしまいます。
しかも脳の過敏状態が起こり、もともとたいした刺激でもなかったものを除々に以前よりも強い刺激として感じるようになります。
例えば、気にならなかったものが火照りとなって感じられたり、さらには増幅されて熱いと感じられたり、これがまたさらに増幅されて激しい不快感になることもあります。
脚の不快感が止まらないのは脳の暴走であり、しかも脊髄の興奮状態をおさえられなくなって脊髄反射も起こります。
■レストレスレッグス症候群・むずむず脚症候群
脚の不快感による睡眠障害は、レストレスレッグス症候群、またはむずむず脚症候群とも呼ばれます。
不快の感じ方には個人差があります。
日本人の中では200万人〜500万人に達すると推定されています。
■脳の鉄分不足が脚の不快感を引き起こす
脳の鉄分が不足すると神経細胞の機能が低下して、レストレスレッグス症候群・むずむず脚症候群が引き起こされていると考えられます。
妊婦のおよそ20%の方がレストレスレッグス症候群・むずむず脚症候群が起こると言われています。
鉄はA11(エーイレブン)細胞にとって必要な栄養素です。
そのためレストレスレッグス症候群・むずむず脚症候群は特に女性に多く、生理などで鉄を失ったり、偏食により起こることもあります。
女性は男性の1.5倍の発症率で、年齢と共にひどくなっていきます。
■こんな人はレストレスレッグス症候群・むずむず脚症候群に要注意
●脚の表面ではなく奥に不快感がある
脚の神経ではなく脳が関連している証拠になります。
●動かない時に不快感が強まる
■レストレスレッグス症候群・むずむず脚症候群の治療法
神経内科や精神科など、睡眠の専門医に相談しましょう。
●鉄分補給
採血をして鉄が少ないかどうか調べ、少なければ鉄分を補給します。
ただ遺伝的に神経細胞の機能が低下しているケースもあるので、これだけでは良くならないこともあります。
●就寝前の行動療法
就寝前に適度な刺激を脚に与えることで脚のむずむずが和らぐとされています。
マッサージ、風呂、シャワー、短時間歩く
●ドーパミン作動薬
A11(エーイレブン)のような神経細胞は端からドーパミンという神経伝達物質を出して信号を伝えます。
この伝達がうまくいくと脚の不快感の元をブロックできます。
ところが脚の不快感の患者さんの中には、加齢や生まれつきのせいでこの伝達の仕組みが弱まっている人がいます。
ドーパミン作動薬は神経細胞に直接刺激を与え、この仕組みを正常化させて本来の機能を取り戻します。
80%以上の人が改善していますが、改善効果には個人差があります。
レストレスレッグス症候群・むずむず脚症候群の人は長い間苦労されているため、うつ傾向になりがちです。
しかし、うつ治療薬のセロトニン作動薬を使用すると、うつは改善しますがレストレスレッグス症候群・むずむず脚症候群が悪化する場合があります。
●刺激物を控える
カフェイン、お酒、辛い物
少量であれば良いですが、摂り過ぎると脳の暴走に油を注ぐ危険性があります。
■自分で出来るレストレスレッグス症候群・むずむず脚症候群の見つけ方
まず就寝前に布団やベッドなどリラックスできる場所で脚を伸ばします。
続いてあまり前屈みにならないよう少し背もたれによりかかります。
この状態のままじっとしています。
時間が経つにつれ脚の奥の不快感が高まっていったり、またピくつきが生じてくればレストレスレッグス症候群・むずむず脚症候群の可能性があります。
60分経っても何の症状も出なければレストレスレッグス症候群・むずむず脚症候群の可能性は低いと考えられます。