咳・せき・たんについて!大人のぜんそく、逆流性食道炎、慢性心不全による咳。咳(せき)はありふれた症状ですが原因は様々で、非常に重い症状を起こすこともあります。咳(せき)の原因究明には問診が重要
■咳(せき)について
咳(せき)とは気管や肺に異物や細菌などの感染を起こすものが溜まると困るため、異物を吹き飛ばす生体の反射反応です。
刺激物や細菌などの異物を吸い込むと、何か入ったという情報が気管から脳の「咳中枢(せきちゅうすう)」と呼ばれる部分に送られます。
その異物を素早く追い出すために「咳中枢(せきちゅうすう)」は各部に指令を出して咳(せき)を出させようとします。
人が咳(せき)をする時、まず横隔膜(おうかくまく)が下がって大きく息を吸い込んだ後、声門を閉じて胸いっぱいに空気を溜め込みます。
その後、横隔膜(おうかくまく)や肋骨(ろっこつ)の間の筋肉などが連動して動き、その溜め込んだ空気を一気に外に押し出します。
この一連の動作が「咳(せき)」です。
咳(せき)は自分の身体や肺を守るための発作です。
咳(せき)はSOSの信号とも言えます。
一般的に咳(せき)は秒速10〜15mと言われ、風速は春一番の風に匹敵します。
咳(せき)やクシャミのしぶきは約2mも飛びます。
咳(せき)は1回で約2キロカロリー消費すると言われており、10回すると約20キロカロリーで散歩10分のカロリー消費に相当します。
咳(せき)で肋骨(ろっこつ)を骨折したり、嘔吐(おうと)や失神してしまうこともあります。
原因不明の咳(せき)が3週間以上続く場合は専門医の受診を受けるようにしましょう。
■老化と咳(せき)
年を取ると「咳中枢(せきちゅうすう)」が老化し、咳(せき)が出にくくなることがあります。
そのため気管や肺に入った異物を外に出せず、肺炎になりやすい状態になってしまいます。
実際、70歳以上の高齢者では12.2%が肺炎で亡くなっています。
■かぜが原因で咳(せき)が出る時の対処法
・着ている物を緩める
・寝ている状態は咳(せき)が出やすいので上体を起こす
・水分を摂取する
・部屋を暖める
乾燥した冷たい空気は咳(せき)が出やすくなるので部屋を少し暖めると良いそうです
■咳(せき)の種類
●乾いた咳(せき)
・気管に入った異物を追い出す
・かぜなどのウイルスや細菌による炎症
・気管支過敏
・間質性肺炎
●湿った咳(せき)
たんが出る咳(せき)は止めてはいけません。
・COPD(慢性閉塞性肺疾患)ぜんそくなど:透明や白っぽいたんが出る
・細菌性肺炎・症状の悪いかぜ:黄色いたんが出る
・肺結核・肺がんなど:血が混じったたんが出る
■大人のぜんそく
子供の時に一度治ったぜんそくが大人になって再発するケースが多くあります。
薬の副作用などでお年寄りになってからもぜんそくになることがあります。
緑内障の点眼薬の副作用で咳(せき)が出ることもあります。
■逆流性食道炎による咳(せき)
逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)は逆流してきた胃酸などが気管に入り、それが刺激となって咳(せき)が出ます。
太り気味の人がかかりやすいというのが逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)の特徴です。
■逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)の原因
・不規則な生活
・辛い物を食べる
・夜遅くに摂る食事
■慢性心不全(まんせいしんふぜん)による咳(せき)
慢性心不全(まんせいしんふぜん)になると心臓の働きが弱まり、肺の血圧が上昇します。
肺の血管から漏れ出た水分によって肺水腫の状態となり激しい咳(せき)が生じます。
■咳(せき)の原因を見つけるポイント
咳(せき)はありふれた症状ですが原因は様々で、非常に重い症状を起こすこともあります。
咳(せき)の原因究明には問診が重要になります。
●咳(せき)が出る時間帯
夜中や夜明けに咳(せき)が出るのはぜんそくの場合が多い。
寝てすぐに咳(せき)が出る時は、心臓に問題があるケースが考えられます。
●喫煙歴の有無
たばこは咳(せき)の原因になります。
●たん
色や量
●発熱
●胸痛・息切れ
●体型
太っている人は逆流性食道炎の可能性があります。
急に痩せてくる人は肺結核・肺がんの可能性があります。