すい臓ガン!急性すい炎、胆石、ランゲルハンス島、糖尿病!血液検査や超音波検査で すい臓の異変を発見。脂肪の摂り過ぎに注意する・バランスの良い食事を心掛ける・禁煙する・適度な運動を行い肥満を予防
■すい臓
すい臓は、みぞおちあたりの胃の裏あたりにあります。
すい臓は横に長く長さは約15cm、重さは約60gほどです。
身体の奥にあるすい臓は「沈黙の臓器・暗黒の臓器」とも呼ばれています。
その理由は異常が見つかりにくく、治療が難しいためです。
中でも増加しているのがすい臓ガンです。
■すい臓の働き「消化」
すい臓は消化液の「すい液」を分泌し、食べ物の消化を行います。
すい液は弱アルカリ性でpH7〜8になります。
一方、胃液は塩酸を含んでいるためpH1〜2の強い酸性になっています。
食道を介して胃に送られた食べ物は、かゆ状になって十二指腸に送られます。
するとすい臓はすい液を分泌し、胃で消化できない栄養素の消化を行います。
すい臓では すい液が1日1.5リットル分泌されています。
実際、胃液はタンパク質のみを分解しています。
一方すい液はタンパク質だけではなく炭水化物も脂肪も消化しています。
いわば、すい液はオールマイティな消化液とも言えます。
さらにすい液は胆汁と混ざると脂肪の消化力を高めます。
この消化力があまりにも高いためになってしまう病が急性すい炎です。
■すい液がすい臓を自己消化
すい液の消化酵素は、通常すい臓内では働きません。
しかしある理由で消化酵素が活性化すると、すい臓自身を消化してしまいます。
■急性すい炎
男性の場合、急性すい炎の主な原因と言われているのがアルコールです。
大量のアルコールを摂取すると、すい臓が刺激されすい液を過剰分泌します。
すると大量のすい液によってすい管の流れが滞ってしまいます。
その結果、本来働かないはずの消化酵素が活性化し、すい臓を自ら消化してしまいます。
急性すい炎の患者数は年間3万5千人。
2割が重症で、そのうち1割が死亡する恐ろしい病です。
重症の急性すい炎は心臓や他の内臓にも負担がかかいります。
●予防法はアルコールの摂り過ぎに注意
アルコールが原因の急性すい炎は1日のアルコール量が30g以上。
毎日飲んでいる人に多いそうです。
ビールなら中瓶3本。
日本酒なら3合になります。
■胆石が原因の急性すい炎
食べ物が十二指腸に送られると胆のうが収縮し、胆汁を送り出します。
その際胆石がすい管の出口に詰まることがあり、すい液の流れが滞ることで すい臓を自己消化してしまいます。
この胆石が原因の急性すい炎は、女性に多いのが特徴です。
■ランゲルハンス島
ランゲルハンス島はわずか0.1ミリほどの小さい器官で、成人で100万個あると言われています。
ランゲルハンス島は主に血糖値を下げるホルモン、インスリンを生産しています。
すい臓のもう一つの働きとは血糖値の調節です。
■すい臓と糖尿病
肥満になるとランゲルハンス島が疲弊して、インスリンの分泌が悪くなって糖尿病が発症すると言われています。
普通食事をすると血糖値が上昇し、すい臓からインスリンが分泌されます。
このインスリンは細胞にブドウ糖を取り込んで血糖値を下げる働きをしています。
しかしランゲルハンス島の機能が下がるとインスリンの分泌も低下してしまいます。
その結果、細胞にブドウ糖をうまく取り込むことができなくなり血糖値が上昇し糖尿病を発症します。
■すい臓ガン
糖尿病になると食後に血糖値が上昇するためインスリンが分泌が刺激されます。
このインスリンがすい臓の細胞を刺激すると細胞の増殖が促され、正常な細胞ではないガン細胞が発生しやすくなります。
胃や肺ほど患者数は多くありませんが、すい臓は臓器別死亡数では第5位。
5年生存率は、およそ40種類のガンの中でも最低の5%ほど。
すい臓ガンは最も治療困難なガンとも言われています。
その理由は、すい臓が体の奥深くにあり、自覚症状が出にくく、早期発見が難しいことです。
さらにガン細胞の増殖や転移しやすい特徴があるためです。
症状が出て病院に行ったときには進行ガンになっているため、だいたい2/3の方は手術が出来ない段階で見つかります。
診断された時点でも転移していることも多いため、すい臓を切除することも出来ないそうです。
■すい臓ガンの危険度
・家族歴:13倍
・喫煙:2倍
・糖尿病:2倍
・肥満:1.8倍
■すい臓の異常対策
最初はほとんど症状がでません。
進行ガンになって初めて症状が出てきます。
人間ドックで行う血液検査では消化酵素であるアミラーゼの数値、腫瘍マーカーが参考になります。
また超音波検査でも、すい臓の異変を発見することができます。
・ふだんから脂肪の摂り過ぎに注意する
・バランスの良い食事を心掛ける
・禁煙する
・適度な運動を行い肥満を予防する