胃炎とピロリ菌!慢性・急性胃炎、胃ガン、胃潰瘍!日本人の胃が弱い原因・多過ぎる塩分:塩分が胃を刺激・胃の形:胃液が溜まりやすくなっている・ピロリ菌:胃粘膜の細胞に針を刺し、毒性のキャグ・エーたんぱく質を注入
日本人の胃ガンの発生率は世界一で、アメリカ人に比べて10倍も多くなっています。
胃の大きさは空腹時では0.5Lですが、最大1.5Lまで大きくなります。
胃は縦・横・斜の3層の筋肉を使って食べ物を胃液と混ぜ合わせ、粥状になるまで粉砕します。
胃液の強度はPH 1〜2(強酸)になります。
胃液と同じPH1の塩酸に丸めたアルミホイルを入れると、24時間後には溶けてなくなってしまいます。
普通の皮膚は胃酸に触れればただれてしまいます。
胃が溶けないのは粘液が胃壁全体をバリアーのように守っているからです。
胃壁のヒダの中から噴水のように粘液が常に出続けているため守られています。
■日本人が胃が弱いのはなぜか
日本人の胃が弱い原因は塩分にあります。
日本人の食事に含まれる塩分はアメリカのおよそ1.5倍。
塩分は胃を刺激しています。
さらに胃の形にも原因があります。
日本人の胃は垂れ下がった感じになっていて、胃液が溜まりやすくなっています。
日本人に多い胃の形は釣り針のような釣状胃(こうじょうい)です。
胃の出口が少し上についていて、胃液が長く胃に留まるため、胃壁に障害が起こりやすくなっています。
一方、欧米人に多いのが牛角胃(ぎゅうかくい)です。
食べ物が出ていきやすい形で胃液が溜まりにくいと言われています。
ちなみにいったん胃の上部に溜まった胃液が、やがて滝のように流れ落ちる爆状胃(ばくじょうい)や内臓の筋肉の衰えで胃全体が正常な位置より下がっている胃下垂(いかすい)などもあります。
■日本人の胃が弱い原因
・多過ぎる塩分
・胃の形
・ピロリ菌
胃はヒダによって表面積が増えてより多くの胃酸を出すことができます。
■急性胃炎
主にストレスや刺激の強い食べ物によって粘膜の分泌が減り出血が起こる炎症です。
■慢性胃炎
炎症が長く続いたことでヒダがなくなり胃の壁が薄くなる状態です。
■逆流性食道炎
食道に胃酸が逆流し粘膜を傷つけるため胸やけが起こります。
■ピロリ菌
ピロリ菌は細長く、らせん状の細菌です。
べん毛というヒゲをプロペラのように回して胃の中を移動し生息し続けることができます。
ピロリ菌はもともと地下水に生息し、井戸水などを介して口から感染します。
日本人は長い間、井戸水を飲んでいたため人口のおよそ半分がピロリ菌に感染していると言われています。
特に50代以上の感染者は7〜8割。
■ピロリ菌と慢性胃炎
ピロリ菌はとても小さな針を胃粘膜の細胞に刺し、毒性のある「キャグ・エーたんぱく質」を注入します。
そして長い年月の間に細胞が壊れていき、胃のヒダがなくなって慢性胃炎を引き起こします。
慢性胃炎で痛みをほとんど感じない理由は、胃が常にピロリ菌に攻撃されているため痛みに鈍感になっているためと言われています。
■東アジア型ピロリ菌
ピロリ菌は大きく分けると2種類あります。
アメリカを中心に生息する欧米型ピロリ菌と、日本などに多い東アジア型ピロリ菌です。
東アジア型ピロリ菌の方が「キャグ・エーたんぱく質」の毒性がとても強く、胃粘膜を激しく痛めます。
だから日本人の胃は弱くなっています。
■胃酸でピロリ菌が死なないのはなぜか
ピロリ菌はウレアーゼというアルカリ性の酵素を作り、胃酸を中和してバリアを張った状態で胃に定着することができます。
■胃のトラブルとピロリ菌の関係
●急性胃炎
・ピロリ菌感染なし
・ストレスや食べ物による刺激によるものが多い
・ものすごく痛い
●慢性胃炎
・ほぼ10割がピロリ菌感染
・痛みの自覚症状がほとんどない
●胃潰瘍(いかいよう)
・約7割がピロリ菌感染
・強いストレス性もある
・痛みがある人と無い人半分ずつ
■ピロリ菌感染度チェック
3個以上でピロリ菌感染の可能性があります。
1:子供も頃、井戸の水を飲んだことがある
2:子供の頃、川で遊んだことがある
3:兄弟が3人以上いる、もしくはピロリ菌を持っている
4:両親が胃の病気をした事がある
5:食後によく胸やけ、胃もたれがある
■胃ガンと慢性胃炎
胃ガンは突然できるものではなく、まず出来やすい状況になります。
それが慢性胃炎です。
つまり胃にピロリ菌がいなければ胃ガンはほぼ出来ないということになります。
胃ガン発症の10年間追跡調査では、ピロリ菌がいる人はおよそ5%が胃ガンを発症。
一方、ピロリ菌がいない人で胃ガンになった人はゼロだそうです。
完全に胃の中のピロリ菌を排除するには除菌療法しかないそうです。
■ピロリ菌の除菌療法
3種類(胃酸分泌抑制剤、抗菌剤2種)の薬を1週間服用します。
初回で70〜80%の人が除菌できます。
失敗しても再度行えば、全体の95%の人が除菌できます。
ピロリ菌は一回除菌すれば二度とかかりません。
■ピロリ菌と他の病気
ピロリ菌の除菌により血小板数の増加が見られたり、他にも鉄欠乏症貧血、慢性じんましん、アトピー性皮膚炎などもピロリ菌の除菌によって改善されるという報告があるそうです。