時計遺伝子!時間栄養学、BMAL1の働き、体内時計と時間治療!

時計遺伝子!時間栄養学、BMAL1の働き、体内時計と時間治療!時計遺伝子は1日のサイクル24時間を計ることで睡眠、血圧、体温など人間のリズムをコントロール。脳の時計遺伝子は「朝日」、内臓の時計遺伝子は「朝食」でリセット

■時計遺伝子(とけいいでんし)について
体内時計は、私達の遺伝子の中に組み込まれています。
それが時計遺伝子です。
時計遺伝子とは、体内の様々な臓器の細胞に存在している時計遺伝子で、時間を刻んでいる遺伝子です。
時計遺伝子には、1日24時間を計る仕組みが備わっています。
まず時計遺伝子は細胞内にタンパク質を分泌させる命令を出します。
このタンパク質が、言わば砂時計の砂にあたります。
細胞内にタンパク質がいっぱいになるまでにおよそ12時間かかります。
すると次に時計遺伝子は、いっぱいになったタンパク質を減らす命令を出します。
再びタンパク質がなくなるまで今度もおよそ12時間かかります。
このようにして1日のサイクル24時間を計ることで睡眠、血圧、体温など人間のリズムをコントロールしています。

■時間栄養学
時間栄養学とは、体内時計を利用して食事の摂り方や摂る時間などを実践する最新科学です。

■体内時計(たいないどけい)について
体内時計とは、私達の身体の中にある24時間時計とも言うべきもので、睡眠のリズムや血圧、体温の変化など生命に関わる重要な機能を数多く司っています。

■時計遺伝子と食事時間
実はこの時計遺伝子によって私達の摂るべき理想的な食事時間も決まっています。
それは朝食と夕食の時間です。
しかもその時間は朝起きた時点で決まります。
朝食は起床から2時間以内となります。
夕食は起床後10〜12時間の間となります。
起床がずれれば、その分食事時間もずれることになります。

■時計遺伝子と朝日・朝食
時計遺伝子は1日ごとにリセットされ、毎朝新たに時計の針をスタートさせています。
問題は、その方法が身体の場所によって異なることです。
脳の中にある時計遺伝子をリセットするのは「朝日」になります。
朝日を浴びることで脳は1日のリズムを刻み始めます。
内臓の時計遺伝子をリセットするのは「朝食」になります。
実は内臓の時計遺伝子を動かすためには、タンパク質の栄養素が必要不可欠です。
近年、数ある栄養素の中でも主にタンパク質が内臓の時計遺伝子をリセットするということが明らかになっています。
朝食にタンパク質を摂ると、その刺激が小腸に到達して時計遺伝子を動かします。
するとその信号が胃や肝臓にも伝わりエネルギー代謝が始まります。
タンパク質の少ない朝食では時計遺伝子はリセットされず、内臓の機能も低下したままになります。
朝日で脳がスタートアップし、それに合わせて朝食が体内に入ってこないと身体が飢餓状態にあると判断し、その後の食事のカロリーを溜め込んでしまいます。
そんな時に昼食を摂ると、飢餓状態に対応するため体内に脂肪を溜め込む機能がスタートします。
そのため脂肪がエネルギーとして消費されず、コレステロール量が増加してしまいます。

■BMAL1(ビーマルワン)
BMAL1(ビーマルワン)とはタンパク質の一種で、このタンパク質には体内に脂肪を取り込む働きがあります。
しかもこのBMAL1(ビーマルワン)は時間によって数が変わり、起床後14時間〜18時間に最大に達するという特徴があります。
朝食には納豆やチーズなどの高タンパク質の食材を含むご飯を摂った方が良いです。
夕食も肉類などの脂肪分を控え、19時前後に摂ると良いそうです。

■時間治療
時間治療とは、その病に対して最も優れた効果が期待できる時間を割り出して治療を施すことです。
一般的に抗ガン剤治療は24時間ずっと同じスピードで抗ガン剤を点滴しますが、時間治療では患者さんの体内時計に合わせて行います。
通常、抗ガン剤治療には吐き気や食欲不振などの副作用が伴いますが、時間治療ではそれがほとんどありません。
毎朝7時起床の人の場合、1日の正常な細胞分裂は正午に最大となり、その後減少していきます。
そして午前4時前後に、最も細胞分裂が行われない時間帯がおとずれます。
つまり午前4時をピークにして抗ガン剤を投与すれば、なるべくガン細胞だけを攻撃することが可能になります。
またこの時間帯に通常の1.5倍のて抗ガン剤を投与しても少ない副作用で済むのは、体内時計が司る細胞分裂のリズムを最大限に活用したおかげです。