慢性腎臓病(CKD)!糸球体のろ過機能、透析療法!

慢性腎臓病(CKD)!糸球体のろ過機能、透析療法(血液透析・腹膜透析)塩分と血糖の悪影響!慢性腎臓病は自覚症状が出にくいので、定期的に健康診断や検査を受けることが大切。特に糖尿病や高血圧の人は定期的に検査を受ましょう

■慢性腎臓病(CKD)について
現在、慢性腎臓病(CKD)患者数は日本で約2000万人、6人に1人の割合でいるそうです。
心臓や肺などと違い、普段私達があまり意識することのない臓器それが腎臓です。
腎臓は体内でとても重要な働きをしており、汚れた血液をろ過してきれいな血液にしています。
腎臓がろ過する血液の量は1日に約150リットルにもなります。
しかし腎臓は沈黙の臓器とも呼ばれ、慢性腎臓病(CKD)になっても自覚症状がほとんどないままに進行してしまい、気付いたときには腎機能が失われていることもあります。
腎臓の大きさは直径10cm、重さ150gほど、およそレモン1個分の大きさになるそうです。
慢性腎臓病(CKD)は自覚症状が出にくいので、定期的に健康診断や検査を受けることが大切です。
特に糖尿病や高血圧の人は定期的に検査を受けることが大切です。

■腎臓の糸球体
私達の体の中では腎臓を通っても体に必要な赤い成分などは残り、必要のない老廃物などは尿として排出されます。
腎臓は血液中の成分をそれぞれの分子の大きさによって選別しています。
その働きをしているのが糸球体と呼ばれる腎臓の中にある毛細血管の束です。
糸球体は毛細血管が毛糸玉のように丸まっていて、1つの腎臓に約100万個あります。
この糸球体のろ過膜こそが血液をきれいにする腎臓の重要な役割を担っています。
体内で糸球体が傷付くと、ろ過膜の穴が大きくなり、体に必要なタンパク質などの栄養分や血液の成分までもが尿として流れ出てしまいます。
それが腎機能の低下の初期症状としてみられるタンパク尿や血尿の原因です。
ろ過膜が大きくなったことで赤い大きな分子も、ろ過膜を通過してしまいます。

■糸球体が傷付く原因
腎臓の役割で大事なのがろ過ですが、そのろ過をしている糸球体も非常に細い血管の塊で出来ています。
そのため腎臓はあらゆる臓器の中でも血管に負担がかかるとダメージを受けやすい臓器です。
ろ過のメカニズムがおかしくなる理由は大きく分けて2つあります。
1つは塩分の摂り過ぎです。
塩分を多く摂ると血液の量が増え高血圧になります。
その状態が続くと血管が常に圧迫され血管の壁に傷がつきます。
そのため毛細血管の塊である糸球体は特に傷がつきやすく、ろ過膜の穴が大きくなってしまいます。
もう一つが血糖値です。
血糖値が高くなると腎臓へたくさんの血液が流れ込んで、腎臓に過度の負担がかかることになります。
また血糖は一部のタンパク質や脂肪酸という体に必要な成分をストレス物質に変えてしまいます。
これが血管の壁を攻撃することで糸球体のろ過膜の穴が大きくなってしまいます。
さらに進行すると血管がつぶれ、ろ過自体が出来なくなってしまいます。
そのため体中に毒素がまわり尿毒症や心不全、脳卒中などを引き起こす危険もあります。
最近では生活習慣病などメタボリックシンドローム症候群から腎臓病に進行する人が増えています。
慢性腎臓病は症状が非常に分かりにくく出にくいので非常に要注意です。

■慢性腎臓病(CKD)セルフチェック
2つ以上に当てはまったら危険。
1つ当てはまれば要注意です。
気になる人は内科や泌尿器科で検査を受けましょう。

●尿が赤っぽい、尿泡立つ(慢性腎臓病(CKD)の疑いがある)
尿の中に血液が混じっているときは、ろ過膜が壊れてきている疑いがあります。
尿の泡立ちは見分けづらいため、毎日の尿チェックで泡が増えてきているかどうかをチェックすることが大切になります。

●夜中に2回以上トイレに行く(慢性腎臓病(CKD)の疑いがある)
腎臓の機能が低下すると、尿を濃縮する力が低下し尿量が増えてきます。
トイレの回数が多くても、1回に出る尿の量が少ない人は夜間頻尿の可能性があります。

●靴や指輪がきつくなった(慢性腎臓病(CKD)の疑いがある)
体からよけいな水分や塩分を出せなくなるので体がむくんできます。
くるぶしを強く押したときに皮膚がへこんでしばらく元に戻らない。

■透析療法
日本では毎年、透析療法を始めている人が3万人ずつ増えていて、現在約30万人の人が透析療法を受けています。
透析療法には血液透析と腹膜透析の2種類あります。

■血液透析
血液を体外に出し、人工腎臓を使って老廃物を取り除いた後再び血液を体に戻す方法です。
透析施設へ週3回通院する必要があり、1回の透析に4〜5時間かかります。

■腹膜透析
手術により透析液を出し入れするためのチューブをお腹に埋め込みます。
そのチューブを使ってお腹の中に透析液を注入します。
透析液がお腹の中に溜まると、血液中の体に有害な老廃物や余分な水分が腹膜を通してお腹に入れた透析液に移動します。
そのよごれた透析液を体の外へ排出することで血液をきれいな状態に保ってくれます。
これを自宅で1日に4回行うのが腹膜透析です。