隠れ腎臓病と貧血・骨粗しょう症。隠れ腎臓病は早期発見で食事療法を行うことである程度まで回復が可能だそうです。早期に発見して早期に管理することで進行を予防することが可能です。メタボを防ぐ生活が腎臓病予防にもつながっていきます
■腎臓機能の低下が悪循環を引き起こす
腎臓は糸球体(しきゅうたい)で老廃物などをろ過しますが、1個の腎臓に100万個もあります。
糸球体(しきゅうたい)は毛細血管のかたまりで、そこを血液が通る間に老廃物がろ過されます。
糸球体がこわれ始めると残った糸球体でろ過の仕事をしねくてはならず、腎臓自らレニンというホルモンを分泌します。
レニンは腎臓から全身に移動し血管を締めつけ血圧を上げます。
こうして腎臓に集まる血液を増やしてより多くろ過できるようにします。
しかしこれは高血圧という副作用にもつながってしまいます。
腎臓の機能が低下していくと、まだ全く自覚症状がないような段階でもレニンが働いて血圧が上がり高血圧の状態になってしまいます。
高血圧になると全身の血管にダメージを与えるために動脈硬化にもつながってしまいます。
つまり腎臓の機能低下はさらなる悪循環を引き起こし、心筋梗塞や脳硬塞などの突然死の危険性を高めてしまいます。
50%ほど糸球体がダメになっても自覚症状はほとんどないそうです。
90%もの糸球体がダメになってしまうと人工透析を受けることになります。
■隠れ腎臓病と貧血
貧血とは赤血球が少ない状態をいいますが、赤血球は体が必要とする酸素を全身に運ぶ働きをしています。
この赤血球が少なくなると酸素が行き届かなくなるので、だるくてしかたがないなどの状況が体に起こります。
骨の中心である骨髄では赤血球が作られていますが、貧血で体の酸素が足りなくなると腎臓からエリスロポエチンという物質が分泌され骨髄に運ばれます。
すると骨髄からは赤血球がどんどん作られ貧血症状が解消されます。
腎臓は血液を作る指令まで出しています。
そのため腎臓が悪化しているとエリスロポエチンの分泌が正常に行われず、赤血球が十分に作られなくなり貧血の症状をも引き起こしてしまいます。
腎臓は酸素の取り込み能力が低い臓器ですが常にいっぱいの仕事をしなければいけません。
そのため常に酸素が足りないという状況のなかで働いています。
全身が酸素不足の状態になっていると、腎臓はその中でも際立って酸素が足りない状態になります。
貧血が起こると、ただでさえ酸素が足りないところにさらに酸素が足りない状態になります。
しかし腎臓はフル回転で働かなければいけないためどんどん疲れてしまい、しまいには腎不全になっていってしまいます。
鉄分を摂っても貧血が治らない人は隠れ腎臓病が原因の貧血「腎性貧血」が疑われます。
■骨作りにも重要な役割を果している腎臓
カルシウムの吸収を助けてくれるのは腎臓で活性化されるビタミンDになります。
実はビタミンDを働かせる重要な役割を腎臓が担っています。
食事から摂ったビタミンDはそのままでは働きません。
ビタミンDは腎臓にやってきて活性型ビタミンDというホルモンの一種に変わります。
活性型ビタミンDは食べたカルシウムが流れてくる腸にやってきます。
そしてカルシウムをしっかり体内に吸収する役割を果します。
吸収されたカルシウムは骨に届けられます。
腎臓は骨作りにも重要な役割を果しています。
■腎臓が悪くなると血管に骨が出来てしまう
腎臓が悪くなり活性型ビタミンDが十分働かなくなると、血液中にカルシウムが足りなくなってしまいます。
しかし人間の血液の中には一定量のカルシウムが必要なため、足りなくなると自分の骨を溶かしてしまいます。
溶かして作ったカルシウムが血管に沈着してしまうことがあります。
これを血管の石灰化といいます。
隠れ腎臓病の人は早い段階から血管の石灰化が起き、心筋梗塞や脳硬塞などの突然死の危険性を高めてしまいます。
■腎臓病の悪循環
腎臓が悪化すると高血圧が起こります。
高血圧になると動脈硬化が進みます。
動脈硬化が進むと血管の通りみちが狭くなるのでさらに高血圧が進みます。
すると細い血管が集まって出来ている腎臓はさらに痛めつけられ、さらなる腎臓悪化に落ち入ります。
腎臓の悪化によって骨がスカスカになり、貧血も引き起こされます。
このような悪循環の輪が回るうちに心筋梗塞や脳硬塞などの突然死の危険性を高めてしまいます。
■食事療法
隠れ腎臓病は早期発見で食事療法を行うことである程度まで回復が可能だそうです。
早期に発見して早期に管理することで進行を予防することが可能です。
●尿タンパク検査キット
薬局などで1,000円程で入手可能。
これで腎臓の健康度合いがわかります。
■メタボ対策が腎臓病予防につながる
腎臓の機能低下のきっかけは糖尿病・高血圧・メタボになっていることが多いそうです。
つまりメタボを防ぐ生活が隠れ腎臓病を予防することにもつながっていきます。