脳の働き オレオレ詐欺!(ガッテン)

脳の働き オレオレ詐欺!オレオレ詐欺にあうと偏桃体(へんとうたい)が働き不安と恐怖の影響で判断力が低下。 結果「本当かも」という気持ちが強くなる。確証バイアスで「これは本当なんだ」と自分で自分を追い込み思考力が奪われます。

テレビなど報道で取り上げられ、かなり知られているオレオレ詐欺。
その手口を知っているにもかかわらず被害はいっこうに減らず、去年の被害額はおよそ120億円にまでなっています。
実は、知らぬうちに自分で自分をだまされる方向に押し進めてしまい、嘘とわかっているはずなのに無意識のうちに本当かもと信じてしまう!
オレオレ詐欺では、そんなとんでもない現象が起こってしまうのです。

■これまでのオレオレ詐欺対策3カ条
・こちらから名乗らず、名前を聞く
・おかしい所は問いただす
・本人かどうか、折り返し電話をする

■考えるスキを与えず、時間がないとせかしてくる
普段から自分はオレオレ詐欺にだまされないと思っていても、いざオレオレ詐欺の電話がかかってきて、一瞬おかしいと思うが、オレオレ詐欺は考えるスキを与えず論理的に時間がないとせかしてきます。
また質問しようとすると話題を変えてさらにせかしてきます。

■「本当かも」と思った瞬間から冷静な判断が出来なくなる
まず電話がかかってきた瞬間に、ほんの少しでも「本当かも」と思ってしまうと、不安と恐怖にみまわれます。
その不安と恐怖の影響で判断力が低下します。
結果「本当かも」という気持ちが強くなっていき、しだいに「これは本当なんだ」と自分で自分を追い込み、思考力が奪われていきます。

■オレオレ詐欺!そのとき体は?
オレオレ詐欺にあうと、まず心拍数が上がり強い不安に襲われます。
そして不安と緊張から、手の汗が瞬間的に大量に分泌されます。
ウソだとわかっていても手の汗は緩やかに上昇していき体が反応してしまいます。

■不安・恐怖の真犯人は偏桃体(へんとうたい)
オレオレ詐欺の声を聞くと、脳の偏桃体(へんとうたい)という場所が活発に働きます。
偏桃体(へんとうたい)は、外から受ける情報に対してすぐさま対応しようと働きます。
例えば、心臓に命令を出し、血のめぐりを良くして体が素早く動けるようにしたり、汗をかくよう命令して体を動きやすくしたりします。
この瞬間時の対応のおかげで、突然の危険にとっさに反応することが出来ます。
その後、状況の詳しい分析が行われ危険がないことがわかると、偏桃体(へんとうたい)は緊急事態を解除して落ち着きを取り戻します。
生きるために必要なこの反応。
かんじんなのは反応の素早さで、その反応速度は0.03秒になります。

オレオレ詐欺にあうと偏桃体(へんとうたい)が働いて体に反応があらわれます。
しかし、オレオレ詐欺にあうといつまでたっても落ち着きを取り戻すことが出来なくなります。
しかもこの緊急事態が解除されないため、しだいに暴走を続けてしまいます。
偏桃体(へんとうたい)は自分の子供の声でなくても反応し、不安と恐怖を感じてしまいます。
すると判断力が低下し「本当かもしれない」と思い込み、最後には自分で「本当なんだ」と思い込んでしまいます。

■オレオレ詐欺の偏桃体(へんとうたい)刺激手法
・泣き声
・お母さんゴメンの繰り返し
・保証人、サラ金、刑務所、チカン、相手を死なせた、監禁などの言葉を矢継ぎ早にぶつけてくる
・上記の方法にプラスして、とにかく時間ないことを連呼してくる

■確証バイアスという心の動き
ウソか本当か確かめるはずだったのに、実際には「本当だ」という一つの方向に向かって進んで行くという思い込みを“確証バイアス”といいます。
人は危険な方向に確証バイアスが起きやすいという性質がり、悪い方向に考えてしまいます。
●確証バイアスが働くと
・ごめんなさいの繰り返しを「取り乱しているんだろう。本当なんだ」と思い込む
・生年月日を答えなかった「急いでいるんだろう。やっぱり本当なんだ」と思い込む
・領収書を下さいと言ってもダメですと断わられたのを
 「危ない金に手を出したんだ。やっぱり本当なんだ」と思い込む
・こちらから名乗らず、名前を聞く「本人なんだから必要ない」と思い込む
・おかしい所は問いただす「本当なんだから必要ない」と思い込む
・本人かどうか折り返し電話をする「本人と話しをしたんだから必要ない」と思い込む

■「ウソだ」と思っている事を前提としている対策ではダメ
人の心には理性の心と、もう一つ偏桃体が働きにより自動的に働いてしまうような心と2つあります。
犯罪は後者の心を巧みにあやつって行われます。
そのためオレオレ詐欺の回避は非常に難しくなっています。

■だまされても振り込まない対策が必要
・「身内の不始末を金で解決はしない」
ということが心のどこかでよぎれば、冷静さを取り戻せるかもしれません
・電話近くにオレオレ詐欺なんだと思わせる言葉を紙に書いて貼っておく
 例)「偏桃体が働いている」「確証バイアスに落ち入っている」
・家族で非常になじみがある言葉を決めておき、常日頃からそれを使っておく。

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