夜間熱中症対策!退避行動、水分補給、バゾプレシンの働き!

夜間熱中症対策!退避行動、水分補給、バゾプレシンの働きと体内の水分量。マンション等はコンクリートを使用しているため熱が放出され始める5〜6時間後に室内温度がピークを迎えやすい。この時間差こそが夜間熱中症の最大の原因

2010年の東京都の発表では、熱中症で亡くなった人の中で死亡時刻が不明な人を除くと、およそ40%が夕方5時過ぎの夜間に亡くなっていることが判明しています。

■夜間熱中症はコンクリートの壁が時間差を持って熱を室内に導くことが原因
一般的なマンションの場合、壁の断面は
外壁→コンクリート→断熱材→通気層→石膏ボード→内壁→室内
となっています。
外壁が日光で熱せられ始めてから30分経つと熱はコンクリートの中心部に伝わり、ゆっくり4時間かけてコンクリートを通過します。
その後は断熱材によって温度が下がるものの、内壁に伝わり表面の温度が上昇します。
5時間後には熱が室内に放出されます。
コンクリートは熱的にはとても暖まりにくて冷めにくいとされています。
暖まった熱が時間をかけてゆっくり室内側に向かってきます。
だからこそコンクリートの場合、外気が最も高い時間ではなく、その熱が放出され始める5〜6時間後に室内温度がピークを迎えやすくなっています。
この時間差こそが夜間熱中症になってしまう最大の原因です。
ちなみに木造住宅の場合は、コンクリートのように熱を溜め込む材質が使われていないため、部屋の内側に熱が伝わりにくくなっています。
特に夜の都心においてヒートアイランド現象で熱帯夜そのものが増えているため夜間熱中症になる人が増えています。
夜間熱中症を引き起こしやすい家は寝室が熱を溜めやすいと要注意です。

■寝室が西に面している(夜間熱中症を引き起こしやすい要因)
寝室が西に面していると、西日が当たって暑くなってしまいます。
午前中に浴びる東からの東日と西日は日射量は同じです。
外気温は昼間の2・3時ぐらいに最高気温になります。
温度が最高に上がったときに合わせて太陽が西に傾いて日射が加算されます。
つまり私達が東日より西日を暑く感じているのは、昼間の最高気温に西日による熱がプラスされているため西日を暑く感じています。

■寝室が最上階にある(夜間熱中症を引き起こしやすい要因)

寝室が最上階にあると、屋根の下にある部屋が一番暑くなります。
屋根の面積を6畳にすると、6畳の屋根にストーブが12個並んでいるようなもので、そのぐらいの強烈な日射を屋根が受けています。

■よしずで夜間熱中症対策
よしずだけでも35℃が31℃ぐらいに下げることができます。
よしずがあるだけで4℃ぐらいの温度を下げる効果が期待できます。

■ゴーヤなどのグリーンカーテンで夜間熱中症対策
ゴーヤの葉は常に表面から水蒸気を出しています。
冷たい表面で日差しをカットしているので「よしず」よりももっと高い効果が期待できます。
ちなみにゴーヤで窓全面を覆うのに約1ヶ月かかります。

■高齢者は夜間熱中症を起こしやすい
高齢者は知覚神経が鈍いため、温度の変化に気付かない人が多くいます。
暑さ寒さの温度を感じ取るセンサーが加齢によって衰えてしまうことで、部屋の温度が上がったことに気付かず体温が上昇してしまいます。
そしていつのまにか意識障害を起こしてしまうケースが後を経たないそうです。

■足の裏のセンサーと夜間熱中症
じつは全身の温度センサーの中で最も衰えやすいのが足の裏のセンサーです。
この足の裏のセンサーを調べれば夜間熱中症になりやすいかどうかが分かります。
加齢によって味覚、運動機能、温度を感じる感覚等が低下していきます。
汗をかく能力も足から低下していきます。
そのため暑さを感じる機能が衰えている人は、熱中症にならないようにクーラーを使う等の退避行動をとることができないので注意が必要です。
糖尿病があると手足の先の感覚が鈍くなってしまうので特に注意が必要です。

■夜間熱中症を防ぐためには
夜間でも冷房を使い過ごしやすくすることが必要です。
現在は夜間に過度の節電は必要がないと考えられています。
夜間に涼しい環境で良い睡眠を取り、次の日の熱中症予防につなげることも大切です。

■高温注意情報
気象庁が猛暑日の前日や当日に発表して熱中症の注意を呼び掛けているので、こういう情報を把握して前もって対応策を準備しておくことも大切になります。

■尿タイプか?汗タイプか?
夜寝ている時よくトイレで起きますか?それとも寝汗をかく方ですか?
私達が寝ている時の体内の水分は、大きく分けて「尿になる」のと「汗になる」のとの2つの方向に行きます。
カギになるのは夜間の水分の出方です。
通常は一晩で約350gの水分を「尿」か「汗」で体外に出しています。
水分というのは多ければ多いほど汗に使われます。
それが尿の方に行ってしまうということになると体温調節が非常に難しくなってきます。
そのため寝ている状態で尿が増えてくる人は、熱中症になる危険性が非常に高くなります。
普段私達は汗をかき、それを蒸発させることで表面の熱を奪い体温を調節しています。
つまり汗の量が少ないと体温が上がり過ぎてしまい、熱中症になってしまう危険性があります。
夜寝ているときに、汗をかく量よりもおしっこの量の方が多い人は、夜間熱中症になる危険性が高くなってしまいます。

■バゾプレシンの働きと体内の水分量
夜寝ているとき私達の脳の視床下部からは「バゾプレシン」というホルモン分泌されます。
バゾプレシンとは「おしっこを作るな」という命令を出すホルモンです。
もともと私達が休息を取る睡眠中は、水分の補給が難しい時です。
そこで睡眠中は脳からは、おしっこストップホルモン「バゾプレシン」が分泌され、なるべくおしっこを作らないようにしています。
しかし何らかの理由でバゾプレシンの分泌が抑えられてしまうと、昼間と同じようにおしっこを作ろうと腎臓が血液中の水分をたくさん取り込み、尿として膀胱に溜めてしまいます。
結果、体内に存在する水分そのものが減ってしまうため汗が少なくなってしまいます。
バゾプレシンの分泌が減ってしまう大きな原因は加齢にあります。
40歳あたりからバゾプレシンの分泌が減ってくると考えられています。
夜間寝ているときに1回以上トイレに行く人は注意が必要です。
夜間熱中症の対処法としてはトイレに行く度に水分補給をすることが夜間熱中症予防に効果的と考えられます。
水分量としてはコップ半分から1杯ほどで良いそうです。