腰痛の原因を知って適切な対処をすれば腰痛の90%は自分で改善することができると考えられています。
■コンパートメント症候群について
私達の腰は広背筋(こうはいきん)という筋肉で覆われています。
その内側には多裂筋(たれつきん)と脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)があります。
コンパートメント症候群とは、この多裂筋と脊柱起立筋の2つの筋肉の衰えが原因で引き起こされる腰痛をいいます。
多裂筋と脊柱起立筋は、腰を動かしたり、上半身が前に傾かないように後側に引っ張って支える働きをしています。
加齢などにより多裂筋と脊柱起立筋が痩せ細ると上半身が前に傾いてしまうため、それを支える2つの筋肉は常に引っ張られる状態になります。
すると常に引っ張られた筋肉内では次第に血液が流れにくくなり、筋肉内に発痛物質が出て痛みを引き起こします。
■コンパートメント症候群による腰痛チェック法
うつ伏せになり手を頭の上に乗せます。
25度ほど両足を軽く上げます。
この状態を2分間維持します。
2分間維持できない時はコンパートメント症候群による腰痛の可能性があります。
■コンパートメント症候群の特徴
腰の重だるさ。
背筋を伸ばすと症状が治まる。
コンパートメント症候群が進行すると、わずか数分歩いたり立っているだけでも腰の重だるさが現れ、上半身が前に傾いてしまいます。
その場で背筋を伸ばすと直ぐに症状が治まりますが、痛みが頻繁に起こるため生活の質が大きく低下してしまいます。
多裂筋と脊柱起立筋痩せ細り始めると、多裂筋と脊柱起立筋の間に脂肪が入り込んできます。
この状態が腰の筋肉の衰えの始まりになります。
■コンパートメント症候群の原因は加齢
コンパートメント症候群を引き起こす原因は加齢です。
コンパートメント症候群は年を重ねれば誰でも起こる可能性のある病気です。
50代60代になり腰痛を感じるようになった人はコンパートメント症候群による腰痛に要注意です。
■コンパートメント症候群による腰痛予防改善法
背もたれのあるイスに座ります。
タオルを両モモの上で交差させ手でしっかり持ちます。
息を吸いながら背中で背もたれを後ろに押します。
そのとき両足を開いていき、同時にタオルで足が開かないように負荷をかけます。
この状態を3〜5秒間キープします。
ゆっくり息を吐きながら元の姿勢に戻します。
10回1セットとして、1日2セット行います。
背もたれを後ろに押す動作で多裂筋と脊柱起立筋に負荷がかかります。
さらに2つの筋肉は、足を開くときに動く骨盤を固定しようと働くためにより負荷がかかり筋肉が鍛えられます。
■腰痛治療の名医(2015年1月時点)
福島県立医科大学医学部 整形外科学講座 教授
大谷 晃司(おおたに こうじ)先生
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