下肢静脈瘤!クモの巣状静脈瘤、伏在静脈瘤、陰部静脈瘤、側枝静脈瘤

下肢静脈瘤静脈は静脈がコブのように膨れる病気。クモの巣状静脈瘤は毛細血管が拡張した物。伏在静脈瘤は伏在静脈の弁が壊れて起こる。陰部静脈瘤は妊娠をきっかけに発症。側枝静脈瘤は伏在静脈瘤から枝分かれした血管が拡張と蛇行をしたもの

■下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)について
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)とは、脚の静脈の血液が逆流して静脈がコブのように膨れる病気です。
下肢静脈瘤の特徴としては、脚の裏側の血管が膨れることです。
また脚のむくみやだるさなども引き起こします。
静脈の中には弁がついていますが、この弁が壊れて血液が逆流して血管が膨れてしまいます。
下肢静脈瘤は遺伝も大きな要因と言われています。
壊れている弁の数や範囲によって変わってきますが、多くの弁が壊れて長期間経つと静脈が大きくなっていき、症状が出たり、皮膚炎を起こしたりすることもあります。

■下肢静脈瘤チェック
・脚の血管がこぶのようになって気になる
・夕方になると脚がむくむ
・立っていると脚がだるくなる
・明け方に脚がつる
・脚に治りにくい湿疹や黒ずみがある

一つでも当てはまると下肢静脈瘤の可能性があります。

■静脈と動脈
血管には動脈と静脈があります。
血液を心臓から送り出すのが動脈で、心臓に戻すのが静脈です。
脚では筋肉の収縮がポンプの役割を担い、静脈の血液を上半身に送っています。
このとき重要な働きをするのが弁です。
血液を押し上げると同時に便が閉じ、重力による逆流を防いでいます。
しかしこの弁が壊れて閉じなくなると、重力に逆らえず血液が逆流してしまいます。
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は、そうした血液が脚に溜まることで引き起こされます。
また弁が一度壊れてしまうと、ニ度と元に戻りません。
そのため加齢と共に悪化していきます。
しかも見た目や症状だけでは進行具合が分からないこともあります。

■下肢静脈瘤の症状
・だるい、脚がつる、血管が浮き出ている、血管がつって痛い

■クモの巣状静脈瘤
クモの巣状静脈瘤とは、直径1mm以下の毛細血管が拡張した物です。

■伏在静脈瘤(ふくざいじょうみゃくりゅう)
伏在静脈瘤(ふくざいじょうみゃくりゅう)とは、伏在静脈の弁が壊れて起こるタイプの静脈瘤です。
主にヒザ下の内側に現れます。
逆流があったとしても、症状や見た目が気にならなければ治療の必要はありません。

■陰部静脈瘤(いんぶじょうみゃくりゅう)
一般の静脈瘤は脚の付け根から起きますが、陰部静脈瘤(いんぶじょうみゃくりゅう)はお腹の中からできています。
陰部静脈瘤(いんぶじょうみゃくりゅう)は、太ももの内側に出来やすく、妊娠をきっかけに発症するタイプの静脈瘤です。
妊娠して大きな子宮に圧迫されることで血液が戻りにくくなり、静脈瘤ができやすくなります。
40代の女性の人は症状が強いことが多いので、辛い人は治療を行います。
治療としては硬化療法(こうかりょうほう)を行います。

■硬化療法(こうかりょうほう)
硬化療法(こうかりょうほう)とは、血管に硬化剤を注入して、静脈を閉塞させる治療法です。
脚の静脈には深いところの血管と皮膚に近い血管があり、静脈瘤が出来るのは皮膚に近い血管です。
表面の血管を閉塞しても深いところの血管が機能しているので支障はありません。

■側枝静脈瘤(そくしじょうみゃくりゅう)
側枝静脈瘤(そくしじょうみゃくりゅう)とは、伏在静脈瘤(ふくざいじょうみゃくりゅう)から枝分かれした血管が拡張と蛇行をしたものです。
軽いもので気にならなければ放置しても問題ありません。

■座り仕事でも下肢静脈瘤に要注意
下肢静脈瘤は、長時間立ったままでいる人に特にできやすいと言われています。
しかし座ったままの仕事でも要注意です。
静脈を通る血液は、ふくらはぎの筋肉の収縮によって下から上へ押し上げられます。
そのため座りっぱなしで、あまり筋肉を動かさない人も、血液に心臓に戻りにくくなっている可能性があります。

■軽症の静脈瘤
軽症の静脈瘤であるクモの巣状静脈瘤、網目状静脈瘤、側枝静脈瘤は、症状がなくて見た目が気にならなければ治療の必要はありません。

■下肢静脈瘤の治療

見た目が気になる人、辛い症状や皮膚炎がある人は治療の対象になります。
伏在静脈瘤は外科的な手術療法の対象になります。

■ストリッピング手術による下肢静脈瘤の治療
ストリッピング手術とは、静脈にワイヤー状の器具を通して静脈瘤の血管を引き抜く治療法です。

■レーザー治療による下肢静脈瘤の治療法
超音波で確認しながらカテーテルを挿入し、静脈の周りに麻酔を行います。
そしてレーザーファイバーをヒザ下から太もも部分の静脈まで入れていきます。
患部に達したらレーザーを照射します。
逆流している部分を焼きながらファイバーを引き抜き、血管を閉塞させていきます。
閉塞されて血管は半年ほどで細くなり、最終的には身体に吸収されます。
レーザー治療は2011年から保険適用になりました。
片脚約5万円〜(3割負担の場合)

■静脈瘤の切除による下肢静脈瘤の治療
コブがある部分に小さな穴を開け、そこから血管を取り除きます。
術後は収縮性のある包帯を巻いて患部をしっかり固定します。
術後翌日からは、弾性ストッキングを着用します。
静脈瘤による症状改善のため、手術翌日から1ケ月着用します。

■下肢静脈瘤の予防トレーニング
イスに浅く座り、つま先を上げて太ももを引き上げます。
自転車を逆に漕ぐように片脚5回ずつ回します。
昼夜2回行います。

■マッサージで予防改善
脚のむくみの解消には、夕方のマッサージが効果的です。
皮膚をなでるように、まずは太ももから行います。
次にふくらはきを心臓の方向にマッサージします。
プール歩行も下肢静脈瘤に効果的です。