大腸がん内視鏡治療!大腸ポリープ、過形成性ポリープ、悪性腫瘍、腺腫

大腸内視鏡は大腸の中を観察して病気を発見するためのものです。
大腸での良性のポリープや早期のがんを見つけて治療するものを大腸内視鏡治療と呼んでいます。
手術は大腸を切除する外科治療になりますが、大腸内視鏡は大腸を切除せずポリープやがんを取り除く内科治療になります。
大腸内視鏡治療は診断と治療ができることも多く、場合によっては日帰りで治療できることもあります。

■大腸ポリープについて
ポリープは腫瘍になるものとそうではないものに分けられます。
腫瘍にならないものには過形成性ポリープがあり、老化現象のようなもので加齢と共に誰にでもみられるポリープになります。
腫瘍には良性と悪性があり、大腸ポリープの8割は良性の腫瘍になります。
良性のポリープは腺腫(せんしゅ)といい、悪性の腫瘍をがんといいます。

■ポリープの治療
がんの場合は、粘膜内にとどまっている早期がんであれば内視鏡で治療ができます。
良性の腫瘍の場合は、1cmを超える大きなものはがんを含む危険性が高くなるので、5mm以上のものは切除してしまうことが多いです。
過形成性ポリープはがんになる危険性はないので切除しません。

■腺腫がん化説
大腸がんの一部は遺伝子の変異が積み重なって起こると考えられています。
そのため腺腫が1cmを超えると、がんを含む可能性が高くなるといわれています。
ただし腺腫の全てががん化するわけではないですが、どの腺腫ががん化するかわからないので切除してしまうことが多いです。
アメリカでの研究では、全ての腺腫性ポリープを切除すると大腸がんの罹患率が8〜9割と抑制されることが分かっています。
大腸がんの死亡率も5割抑制できることが分かってきています。

■良性の腺腫と悪性のがんの判別
拡大内視鏡でポリープの表面を100倍程度まで拡大観察して腫瘍なのか、非腫瘍なのか、がんかどうか、がんの深さまで診断することができます。
大腸のがんは粘膜に発生し、時間の経過と共に粘膜下層に深く浸潤して、さらに固有筋層、しょう膜下層、しょう膜と浸潤していきます。
粘膜下層はリンパ管や静脈といったものが発達しているので、がんが粘膜下層まで浸潤するとリンパ節・肺・肝臓へ転移が起こることになるので外科手術が必要になります。
がんが粘膜内に止まっていればリンパ節転移の危険性がないので内視鏡で治療することができます。

■内視鏡治療
・ポリペクトミー
・内視鏡的粘膜切除術(EMR)
・内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

●ポリペクトミーによる内視鏡治療
きのこ型の病変に対して適応されます。
内視鏡からスネアという針金の輪っかを出してポリープの首の部分にかけて、電量を流して焼き切ってしまいます。

●内視鏡的粘膜切除術(EMR)による内視鏡治療
平べったい病変に対して適応されます。
病変の下に生理食塩水を入れて持ち上げてくびれを作り、そこにスネアで締めて焼き切ります。

●内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)による内視鏡治療
内視鏡的粘膜切除術(EMR)では切除が困難な2cmを超えるような早期がんに対して適応されます。
病変の下に生理食塩水を入れて病変の周りの粘膜を電気メスで切除し、粘膜下層を筋肉から剥がしていきます。

■治療後の合併症
せん孔(せんこう)という筋肉にあなが開いたりする合併症が起こる場合があります。
治療後は出血することがあるので、内視鏡治療後7〜10日間は飲酒、運動、旅行は控える必要があります。

■病理検査
切った病変を検査し、がんが粘膜内に限定しているのか、粘膜下層に潜り込んでいないか検査します。
がんが粘膜下層に入り込んでいたり、リンパ管や静脈に侵入している場合は手術を行いこともあります。

■再発の危険
良性のポリープや粘膜内にとどまる早期がんの場合は、内視鏡で適切に治療できれば再発の危険はありません。

■経過観察
大腸に腺腫がある人や早期がんがある人は、他の場所にポリープや腺腫ができる危険性があるので定期的な検査は受けた方がよいです。
大腸の腺腫性ポリープを切除した人は3年後ぐらいに経過観察をした方が良いとされています。
腺腫が多発している人、あるいは単発している人など、リスク毎に応じた検査した方が良いとされています。

がんを早期の段階で発見できれば検査と同時に内視鏡治療も可能であり、ほぼ100%完治が可能です。
そのためには大腸がん検診をしっかり受診することが重要で、50歳以上の人は内視鏡検査を行った方がよいです。